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March 28 2016 By WEB CARTOP編集部

シューマッハから授かった成功へのアドバイス:金丸悠インタビュー

シューマッハから授かった成功へのアドバイス:金丸悠インタビュー

スペインで孤軍奮闘する若武者のF1挑戦武者修行

以前、紹介した日本人GP2ドライバーの松下信治が、マクラーレン・ホンダのテスト&開発ドライバーに昇格といううれしいニュースが届いた。
そしてもうひとり、ヨーロッパを拠点に闘い続ける若武者、金丸悠も本格的にF1を視野に入れたステージに突入する。ヨーロッパでひとり闘い続ける金丸悠に、インタビューを試みた。

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見るからに育ちの良さをうかがわせる風貌で、今どきの若者とは一線を画する、清潔感ある身だしなみで待ち合わせの場所に金丸悠は現れた。4歳の頃、テレビで観たポケバイ・レースに魅了されたが、同年代ライダーが転倒し流血するシーンを見た両親が、もっと安全なものをと探しあてたのが、インドア・カート場のキッズ・カートだった。金丸は初めて乗ったカートに夢中になった。金丸少年だけでなく、同時にレンタルカートに夢中になったのは父と母だった。その日から60日間連続で、家族揃って毎日そのカート場に通い続けたという、金丸家の家風を表現するにふさわしいエピソードである。日本でのレースでは飽き足らず世界に飛び出したきっかけは、家族と共にイタリア旅行をし、そこで観たカートレースだった。

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「エネルギーというか、インパクトが凄かった。100台近いカートが一斉に同じところを目掛けて飛び込んでいくんです。こういうところで揉まれ、勝ち上がらなければF1はないと感じました」

直観で自らの歩むべき道を悟った金丸は、両親にヨーロッパでのカート挑戦を伝えた。これに対し両親は「レースをするなら周囲とのコミュニケーションが取れないと意味がない」と逆に息子を諭し、スイスの全寮制学校への入学を手配したという。Yu Kanamaruの名前が、次第に競争の激しい欧州のカート界でも知られつつあった。そしてイタリアの名門トニーカートのワークス・チームに所属、KF2というトップカテゴリーで走れるようになった。だが、その年のトニーカートが絶不調で、レースを辞めようかと思うほど苦しい試練の時期を過ごした。そんな苦境の中、優勝。トニーカート勢の中で初優勝ということもあり、アジア進出中のトニーカートにとって「アジア人の金丸悠」の優勝は大きな価値があった。日頃から「ミハエル・シューマッハ選手が憧れのドライバー」と周囲に語っていた金丸の姿を見て、カートチームのマネージャー、ロバッジ氏から夢のような話が舞い込む。「ミハエル・シューマッハと、ラスベガスのカートイベントに参加しないか?」という話だった。二つ返事でOKし、すぐにラスベガスに飛び、憧れのミハエル・シューマッハと出会った。実際のシューマッハからは凄まじいオーラが出ており、正直ビビるほどだったという。そんな彼とタッグを組んだ金丸は、1週間にわたって憧れのミハエル・シューマッハと同じテントにカートを並べて一緒にレースを戦った。

「凄かったのは勝利への執念とこだわりです。シートの高さひとつとってもミリ単位で、自分で調整。すべて納得がいくまで、時間を惜しむことなく追求する。勝利に対するモチベーションが、たかがカートレースとは思えないほど凄い。チャンピオンになる人間の強固な意志とこだわりを見せつけられ、自分の甘さを痛感しました」

夢のような1週間で、シューマッハは多くのアドバイスを金丸に授けた。すでに17歳になっておりフォーミュラデビューを焦っていたが、シューマッハは「もう1年カートでレースの戦い方を覚えてからでも遅くない。もう1年カートで実戦経験を積むべき」とアドバイス、金丸はそれに従った。カート世界最高峰カテゴリーであるCIK-FIA世界選手権KF1で、金丸は見事に日本人初優勝を成し遂げ、カート界での成功と実績を収めた。そして2012年、満を持してフォーミュラ・ルノー2.0へとステップアップした。しかし4輪レース界で知人は少なく、チーム選択を間違ったことに気が付いたのはデビューイヤーの終盤だった。しかも気が付いたときには、すでに翌年も同じ選択肢しか残されていなかった。名門チームや名エンジニアが、強いチームに存在する理由が確かにあることを、身をもって学んだ2年間となった。とはいえ、持って生まれた運の強さで名門PON’Sのチームマネージャー、エミリオ・デ・ピロタ氏と知り合い、彼のチームから2014年ユーロフォーミュラ・オープン(旧スペインF3)参戦の機会を得た。さらにその年の終わりには英国F3の名門、カーリン・モータースポーツからマカオGP参戦のチャンスも得た。

「F3に乗れて大きな自信になりました。ルノー2.0では、自分の速さを疑う時もありましたが、F3に乗ったらやっぱり自分は速い(笑)と、自覚できました」

2015年は優勝を含むシリーズランキング3位の結果を残した金丸悠に、フォーミュラ・ルノー3.5へのスポット参戦の話が舞い込んできた。

「F1へとつながるビッグ・フォーミュラなので、興味はありました。実際に乗ると、体力的に厳しかった部分もありましたが、すぐに慣れました。ぶっつけ本番でしたが、2戦目のル・マンで6位入賞、最終戦のヘレスの前のテストではトップタイムを出せました」

そのパフォーマンスが注目され、テオ・マーティン・モータースポーツから声がかかり、2016年、金丸悠はフォーミュラ3.5V8シリーズ(旧フォーミュラ・ルノー3.5)にフル参戦することが決定した。

「シーズン当初は新チームですから、自分たちがどの位置にいるのか見極めるのが大切ですが、シーズン後半には常にトップグループにいて戦えるように頑張ります。自分的にはブレーキングと高速コーナーには自信がありますし、ミシュランタイヤの性能も高く、シルバーストンではGP2よりも予選タイムは速いくらいのカテゴリーですから楽しみです。でも仮にこのカテゴリーでチャンピオンを獲得しても、新しく規定されたスーパーライセンスのポイント制度では35点で、ライセンス発行には至りません。恐らくもう1年、新たにスタートするFIA-F2に参戦し、そこで結果を出してからF1へステップアップですね。F1、絶対に行きたいです。もう、それだけを考えて生きていますから」

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群れをなして歩く日本人の若者が多い中、スペインで孤軍奮闘する、弱冠21歳の金丸悠。ヨーロッパの強豪たちにもまったく臆することなく立ち向かう様は、まさに若き侍ファイター。自らの夢に向かって、シューマッハから授かった成功へのアドバイスとともにさらに金丸悠の挑戦はつづく。

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金丸 悠(Yu Kanamaru)

1994年5月13日生まれ 21歳

身長175cm 体重66kg  血液型A型

WEB CARTOP編集部

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最新の自動車ニュース、新車情報、新車試乗記事をお届けしている自動車情報総合誌『CARトップ』のWebサイト(http://www.webcartop.jp)です。「ボーダレス」にもオリジナル新着記事を展開しています。 

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