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June 02 2016 By 小林 香織

13歳で日本最年少プロサーファーに!2020年の東京オリンピックを視野に世界の頂を目指すー稲葉玲王

13歳で日本最年少プロサーファーに!2020年の東京オリンピックを視野に世界の頂を目指すー稲葉玲王

サーフショップ「DEEP SURF」を営む両親のもとに待望の長男として生まれた稲葉玲王(いなば れお)。父はプロサーファー。「息子を世界一のプロサーファーにしたい」との両親の強い願いを受け、玲王は6歳でサーフィンを開始。瞬く間にトップに上りつめ、13歳で日本サーフィン史上、最年少のプロサーファーへ。現在、19歳の彼は2020年に開催される東京オリンピックを視野に入れ、世界の頂点を目指している。

6歳からサーフィン漬けの日々を送り、13歳で最年少プロサーファーへ

玲王は4歳のとき、両親が営むサーフショップ「DEEP SURF 一宮店」のオープンとともに、千葉県長生郡に家族で移住。プロサーファーである父の影響で、6歳でサーフィンを始めた。

「自分の意思ではなく、父に連れて行かれて……という感じでサーフィンを始めました。あんまり記憶はないけど、泳げなかったから最初は怖くて泣いてましたね」

スタートこそ自分の意思ではなかったものの、成長するにつれ、玲王はサーフィンならではの「波に乗る快感」に魅了されていく。小学生時代は、朝5時に起きてサーフィン、学校から帰ってくるとまたサーフィン、友達と遊ぶ時間はほぼなかった。同時に全国各地で開催されるサーフィンの大会に出場するように。優勝を飾った経験は1度や2度ではない。その頃から、「自分はサーフィンのプロで生きていくんだ」との思いが自然に生まれていったという。

そして13歳のとき、日本サーフィン史上、最年少でプロ資格を獲得する快挙を成し遂げる。しかし、玲王は極めて冷静にその事実を受け止めていた。

「当初は、12歳でプロになることを目標にしていました。だから、むしろちょっと遅れてしまったなという感じ。うれしいという気持ちはあんまりなくて、“単なる通過点だ”という感覚でした」

2013年秋 フランスで開催されたキング・オブ・ザ・グロム(KOTG)にて

2013年の世界選手権で4位入賞、日本人として3人目の表彰台へ

中学・高校時代は、オーストラリア、ハワイ、日本、そして世界各国を転々としながら、大会に出場する日々を送る。自由な時間はすべてサーフィンに捧げた。「自分は特別な経験をさせてもらっている」、そう思う一方で学校帰りに制服のまま遊びに繰り出す同級生たちを、正直うらやましいと思うこともあった。

「やっぱり同級生たちと一緒に過ごせないのは寂しかったですね。サーフィンをやめようかなと思ったこともあるんですけど、行動に移さなかったのは『僕にはサーフィンしかない』という思いのほうが強かったからかもしれません。今は、来年の成人式でみんなに会えるのが、すごく楽しみです」

幼いながらにプロサーファーとして生きる覚悟を固めていた玲王にとって、もっとも印象に残っているのが2013年に南米・ニカラグアで開催された「ISA WORLD JUNIOR SURFING CHAMPIONSHIP」。世界中から競合選手が集まる世界選手権だ。16歳で出場した玲王は一度は敗者復活戦に転落するも、そこから勝ち上がり4位入賞。実は、世界選手権で日本人が表彰台に上がるのは、玲王が3人目だった。

稲葉玲王

さらに、団体戦では日本が初の優勝を飾る。日本人の武器である協調性を生かし、チームワークで好成績を導いた結果だった。これにより、当時、最下位に近かったジュニアサーフィンの世界ランキングが、一気に6位まで上昇。想像を超える結果に、興奮を隠しきれなかった。

「個人の4位入賞ももちろんですが、団体で優勝したときに表彰台で初めて『君が代』が流れたときは、感無量という感じでした。今までここまでの好成績をあげられたことがなかったので、忘れられない経験です」

稲葉玲王

2020年のオリンピック日本代表、そして世界の頂点を目指して

サーフィン一筋の玲王は、中学生の頃から1人で海外に出向き、世界大会に出場する日々を送っている。英語がまったく通じない異国では、辛い経験が多いそうだ。

「年齢制限があって海外ではまだレンタカーが借りられないので、タクシーで移動するんですが、去年モロッコで運転手に脅されたんです。暗がりに連れていかれて『金を出せ』って。なんとか逃げられたんですけど、あれは本当に怖かった。

あとは、ホテルの周辺に何にもなくて、丸2日何も食べられなかったり、レストランに行ってもメニューが読めなくて、適当に頼んだら、とんでもないものが出てきたり……。今は、なるべく他の選手たちと一緒に行動するようにしていますが、1人のときは正直キツいですね」

日本はハワイをはじめとした米国やオーストラリアといったサーフィンが盛んな国に比べると、プロサーファーを続けづらい現状がある。海外への渡航や滞在費用はすべて自身が負担するうえ、大会の優勝賞金も他の競技に比べると恵まれていない。日本人プロサーファーたちは、そんな苦労も背負わなければならないのだ。

しかし、世界規模で見るとサーフィン市場は盛り上がりを見せており、2020年の東京オリンピックの追加種目に挙がっている。正式に追加種目が決定するのは今年8月だが、玲王は日本代表を見据え、日々練習に励む。

「日本のトップにいればオリンピックに出場できると思うので、そこに目標を定めています。あとは、まだ日本人が参戦したことがないWSL CT(WORLD SURF LEAGUE CHAMPION TOUR)に出場して、世界ランキングの1位をとること。WSL CTには、年間の世界ランキングでトップの30~40人までしか出場できません。今はそこに出場するための予選を戦っているんですが、自分を信じて前に進むのみですね」

稲葉玲王

「世界の頂点」、そこに到達するには途方もない努力と強靭な精神力のみならず、周囲の人脈や運を味方にすることも必要だろう。しかし、幼い頃から世界の強豪たちと戦ってきた玲王にとって、世界一に挑むのはあたり前の感覚なのだ。誰も見たことがない日本サーフィン界の新たな歴史を創るであろう稲葉玲王から、目が離せない。

(取材・文:高良 空桜)

Twitter:稲葉玲王 @reoinaba

Facebook:稲葉玲王

BLOG:プロサーファー稲葉玲王のブログ

 

小林 香織

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2014年デビューのフリーライター。現在、「恋する旅ライターかおり」名義で、恋愛・旅・ライフスタイルジャンルの執筆にも挑戦中。人生の豊かさ、可能性を広げるためのメッセージを発信したいと願っている。自由な人生バンザイ

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