TOPへ
July 19 2016 By ゆるすぽ編集部

サバットに人生を捧げる覚悟は決めましたね!サバット元世界王者・原万里子①

サバットに人生を捧げる覚悟は決めましたね!サバット元世界王者・原万里子①

覚悟は決めた。

「これまでの人生で、サバットにお金も時間も貢いでしまった以上、もう後には引けません。ここまでやったら、もうやり続けるしかないかなと。もうサバットに人生を捧げる覚悟は決めましたね」

力強くハキハキとした声で、それでいて柔らかく朗らかな笑顔を見せながら話してくれた。原万里子選手。彼女はサバットという格闘技で、なんと世界王者になったことがある。

サバットはフランス発祥の伝統ある打撃系格闘技で、手足のコンビネーションによる激しい攻撃の応酬が魅力的。キックボクシングのような感じである。グッと脚を伸ばして相手の急所を攻撃するなど、正確性を追い求める実戦的なスタイルで、見た目もとても美しい。サバットはフランス語で「靴」を意味し、シューズを履いてプレーする。ソールの部分はとても硬く、これでキックされたらその痛さはもん絶レベルだろう。

現在の競技サバットには、「コンバ」と「アソー」の2種類の形式が存在する。「コンバ」とはK.O.を狙うフルコンタクト形式の試合。一方の「アソー」は相手に大きなダメージを与えないように的確に攻撃を加えるライトコンタクトの形式で、ポイントによる判定で勝敗を競う。動きが派手なこともあり、見ている人にとっても楽しめる格闘技だといえる。

母国フランスでは、サバットは老若男女がたしなむ護身術としても知られていて、日本における柔道や剣道のように、町の道場やスポーツセンターで気軽に慣れ親しむことができる。フランスでは競技人口が数万人とも言われているが、日本ではどちらかといえば、マニアックなスポーツの部類に入るだろう。少し危険なスポーツでもあるので、安全性を考慮すると、海外で開催されるガチの大会に参加する人はごく限られていて、わずかに15人程度だそう。

競技人口にこれだけの圧倒的な差があるにもかかわらず、日本人選手が世界王者になったという事実は、言葉にする以上にとんでもない快挙である。コンバで2009年、2011年の世界大会で優勝した彼女は、年齢制限のために自身ラストとなる2017年大会での王者返り咲きを狙っている(アソーは年齢制限なし)。

覚悟は決めた――。

冒頭のこの言葉は、そんな原選手に、「いつまでサバットを続けるのか?」と質問した時の答えである。

彼女は今でも本業であるグラフィック・デザイナーの仕事をしながら、サバットを続けている。アスリートとしては決して華やかで恵まれた環境とはいえないサバットに、どうして彼女はそこまで魅了されたのか?

サバットに選ばれてしまった。

原選手がサバットを始めるきっかけは何だったのか?

「ホントたまたまだったんですよ。ちょうど勤め先のすぐ近くにスポーツクラブがあって、仕事帰りにちょっと運動でもしてみようかなって、もう普通のOL気分で行ってみたんです。プールもあるし、シャワーも使えるしと思って」

そのスポーツクラブで出会ったのが、ここから十数年にわたってサバット人生を二人三脚で歩んでいくことになる、窪田隆一さん(ジャパン・サバット・クラブ代表)であった。

サバット

ジャパン・サバット・クラブ代表の窪田隆一さんと、世界王者の原選手

このスポーツクラブでは、会員のサークル活動の一環として、格闘技サークルがあったそう。それぞれの格闘技の経験者がお互いに教え合いながら、みんなでミット打ちをしたり、ゆるく格闘技を楽しんでいたとのこと。ところがだんだんと教えられる人がいなくなって、窪田さんが中心になって教えることが多くなり、結果的にサバットをやることが増えていった。その格闘技サークルに、ちょっと参加してみようかなと思ったのが、原選手の運の尽き(!?)だった。窪田さんに、そして「サバット」という格闘技に、見初められてしまった。窪田さんは、当時のことを振り返ってこう言う。

「あっ、この子は素質があるな!と思いましたね。そのサークルに来ていた人たちの中で抜群に運動神経が良かったですし、あとはメンタルの部分でしょうか。“継続する力”が誰よりも優れていましたね」

この話を聞いて原選手は、「素質というか、ホントに根性だけって感じですけどね」と笑顔で返す。窪田さんが、「あとはスタミナも優れているかな」と付け足すと、「それも根性とひとくくりですよね(笑)」と、また白い歯を見せて笑っていた。

なんにせよ、窪田さんとサバットに選ばれてしまった原選手。決して逃がすまいとする窪田さんは、彼女が練習に来れば、手取り足取り、知っている限りのサバットの技術を教え込んだ。当時の指導を、原選手はこう振り返ってくれた。

「アメとムチの使い分けがものすごくうまいんですよ。エサをまかれていて、気が付けば退路を断たれていた感じです」

とはいえ、原選手はサバットを続けているうちに、あっという間にその魅力に取りつかれていた。

そういえばサバットに人生を捧げる覚悟ができたと言っていたが、その覚悟はいつ決まったのか?

「意外と早かったですよ(笑)」

こうして原選手は、窪田さんの仕掛けたワナに、いとも簡単にはまってしまった。

サバットと出会った彼女はいったいどんな子ども時代を過ごしてきて、今はどんな生活をしているのか? 次回へつづく。

【お知らせ】サバット体験したい方はぜひこちらへお問合せください。
◆問い合わせ窓口
liu@savatejapan.com (代表)窪田隆一

◆練習日時/場所
毎週日曜:原則としてAM10~12時(午後に変更になることもあります)/@世田谷区近辺の公共施設
毎週木曜:PM9~10時/@世田谷区二子玉川 Studio Releve

ゆるすぽ編集部

ゆるすぽ編集部

“みんなでつくるスポーツニュース”をコンセプトにwebサイトを展開。(http://www.yurusupo.com/)ファン目線を大事にし、スポーツニュースで報道される以外のさまざまなスポーツネタをゆる~く紹介しています。「ボーダレス」にも記事を展開。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterをフォローしよう!

前の記事へ
一覧に戻る
次の記事へ
前の記事へ
一覧に戻る
次の記事へ