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August 11 2016 By 小林 香織

「心と身体は一体」ロルフィングで作るストレスのないしなやかな身体、ボディワーカー・藤本靖(前編)

「心と身体は一体」ロルフィングで作るストレスのないしなやかな身体、ボディワーカー・藤本靖(前編)

米国ロルフ研究所認定のロルファーであり、身体の専門家として独自のワークを発信する、ボディワーカーの藤本靖。プロスポーツ選手やダンサー、音楽家をはじめとしたクライアントの個人セッションを行うほか、テレビや雑誌等のメディア出演、セミナー講師と大忙しの日々を送っている。

※ロルファーとは、クライアントと共に身体の一つひとつの部位に働きかけ慢性的な動きのクセを解放することで、“自分の身体にやさしい動かし方”を学んでいくロルフィングの技術を実践する人を指す。

2012年に上梓した『「疲れない身体を」いっきに手に入れる本(さくら舎)』はベストセラーとなり、中国語版、台湾語版も発売された。とはいえ、彼は整体師でもなければ医者でもない。そんな藤本が、なぜ「心と身体」のテーマに惹かれたのか、これまでどんな人生を歩んできたのか、訴えたい本質とは。興味深い彼の過去・現在・未来を掘り下げたい。

身体観を変化させることで松葉杖の女性が歩けるように

元々、東京大学大学院 身体教育学研究科に在籍し、「人の脳のシステム」について研究していた藤本。その後、ボディワークの国際的な資格である「ロルフィング」の技術を習得し、1対1のセッションを開始することとなる。そもそも、ロルフィングとは、クライアントと共に身体の一つひとつの部位に働きかけ、慢性的な動きのクセを解放することで、“自分の身体にやさしい動かし方”を学んでいく技術。

「たとえば肩が凝っているクライアントに対して、整体師なら固くなった肩や背中、首周りをほぐす治療を施しますよね。それに対してボディワークは、その人の働き方や食生活といったライフスタイルや家族関係など、症状をもう少しホリスティックに見ます。そのうえで肩こりが自然に解消していくプロセスを観察します」

藤本が提案する考え方のひとつに、「身体観の変化」がある。これは、自らの身体への思い込みを解放すること。

「過去のクライアントで、医者から『一生、松葉杖を持たないと歩けない』と言われた高齢の女性がいました。その方は、関節の痛みと機能障害を伴う『変形性股関節症』を患っており、セッション前は松葉杖なしでは歩けない状態だったんです。

まずセッションで行ったのが、ご本人の『歩けない』という思い込みを外すこと。身体は股関節だけで支えているわけではないので、他の部位も含めて全体的に身体を支えるという『新たな脳のプログラム』が形成されるように促しました。もちろん筋力がいきなりUPしたのではなく、これまでとはまったく異なる発想でご自身の身体と向き合ってもらったんです。

結果、その女性はセッションを終えたあと、松葉杖なしで歩いてお帰りになりました。こういった症例はこれまでも多くあり、人間が本来持っている自然治癒力がいかに大きいかを実感しています」

異国で出会った陽気な人々が人生の方向転換のキッカケに

ボディワーカー藤本靖

実は藤本は、大学院で脳のシステムの研究を始める数年前に、東京大学の経済学部を卒業している。その後、政府系国際金融機関(海外経済協力基金、現国際協力事業団)に就職し、東南アジア、アフリカにおける政府開発援助(ODA)の業務に関わっていた期間が3年ほどあるという。

「当時は、アフリカや東南アジアにしょっちゅう足を運んでいたんですが、とにかく向こうの人って、いつも明るくて元気なんですよ。援助をしに行っているはずの自分が、一番元気がなくて緊張感でピリピリしていて……(苦笑)。身体も心も伸びやかで生き生きしている、彼らのその人間らしさに強く惹かれました」

そして日本に帰って来ると、みな薄暗い顔をして電車に乗っている。とにかく閉鎖的な雰囲気が漂っていた。そんなキッカケから、「心と身体の関係」により強い興味を抱くように。

同時に、「ゴールが見えている人生」への閉塞感も感じたと藤本は言う。

「政府開発援助の仕事は思い描いていた世界であり、続けていれば充実した人生を送ることはできたのかもしれません。でも自分の将来を想像したときに、ゴールが決まっているような気がしたんです。その決まったゴールに向けて日々の業務をこなすよりも、未来がまったく予想できない、わけわかんないことのほうがおもしろいなと思って。そこから方向転換をして、大学院に戻って身体と脳の研究を始めました」

身体への探求心からクラシックバレエを10年継続

思いきった路線変更を図った藤本は、大学院での研究のほか、身体の動きを学ぶため、さまざまな身体技法を経験。なかでもクラシックバレエはトータル10年以上も継続したという。まるで魔法使いのように他人の身体を操れるのは、長年に渡る努力や経験があってこそ成せる技だったのだ。

「クラシックバレエって身体が柔らかくないと、うまく踊れないじゃないですか。大人になってから始めれば、身体が動かないのはなおさらで。そんななか、どの筋肉をどう動かせば身体がいうことを聞くのかを探求したかったんです。

当時は金髪の東大生だったので珍しがられて、一緒にレッスンしていた小学生の女の子たちの宿題を見てあげたことも(笑)。毎日のようにレッスンに通っていたのは約2年間、トータルで10年以上続けることで、多くの学びがありました」

ボディワーカー藤本靖

テレビ番組でバレエの動きを使った肩こり予防の動きを提案した1コマ

ひたすら探求心に突き動かされてきたかのように見える藤本だが、意外な一面もある。お笑いが盛んな大阪の地で生まれ育った彼は「一度はおもしろさで勝負しないと」と考え、20代後半でお笑いの世界に飛び込んだのだ。

「幼い頃から『おもしろい人が一番偉い』という思想のもとで育ったので、おもしろさを競う場に身を置いてみたかったんですよね。研究やバレエもやりながら、お笑いの養成所に通いました。『小島よしおさん』みたいな捨て身のギャグをやっていたんですが、東大生でパンツ1枚で踊ってるヤツなんて他にいなかったので、そこそこ注目してもらっていたかもしれません(笑)。

ライブでは中学生ぐらいの若い女の子たちを相手に、どう笑いを取りにいこうか、毎回心臓が破裂しそうなほどバクバクしていました。人生で最も緊張した瞬間でした。その時の緊張を思うと大抵のことは乗り切れます。いま振り返ってみると貴重な体験ですね」

そんな藤本は2011年の東日本大震災のボランティアに参加したことで、新たな気づきを得ることになる。後編では震災時の体験のほか、人間が本来持っている生命力について、未来の計画までたっぷりと聞かせてくれた。

 

後編へ続く

 

(取材・文:高良 空桜)

 

ボディワーカー・藤本 靖
藤本靖オフィシャルウェブサイト:http://www.all-blue.com/index.html
藤本靖オフィシャルブログ:「進化するココロとカラダ」

 

小林 香織

小林 香織 Facebook

2014年デビューのフリーライター。現在、「恋する旅ライターかおり」名義で、恋愛・旅・ライフスタイルジャンルの執筆にも挑戦中。人生の豊かさ、可能性を広げるためのメッセージを発信したいと願っている。自由な人生バンザイ

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