TOPへ
September 01 2016 By 小林 香織

MAXは高さ6,000mまで!「モーターパラグライダー」選手の過酷な一面とは?上空200mの浮遊体験レポ付き

MAXは高さ6,000mまで!「モーターパラグライダー」選手の過酷な一面とは?上空200mの浮遊体験レポ付き

空を飛べるアクティビティといえば、スカイダイビングやパラセーリング、熱気球やヘリコプターの遊覧など、数多く存在する。今回、取り上げる「モーターパラグライダー」は、それらのなかでも知名度が低いアクティビティといえるかもしれない。

7月某日、沖縄を訪れた筆者は、このモーターパラグライダーのパイロットを生業とする安次嶺 純(あしみね じゅん)さんに、アクティビティとしての魅力とともに知られざる選手の過酷な一面を取材。想像を超えたエピソードの連発に、思わず耳を疑ってしまったほど。

さらに、「鳥のように空を飛んでみたい!」という自身の願望を叶えるため、安次嶺さんの操縦でモーターパラグライダーを初体験! 興奮しっぱなしだった浮遊経験も併せてお届けしたい。

レースでは6時間飛びっぱなしも当たり前!過酷で危険な一面も

モーターパラグライダーとは、スポーツ用に開発された滑空性能をもつ四角いパラシュートにプロペラ付きのエンジンを背中に背負い、それを動力として平地からでも手軽に離発着できるスカイスポーツだ。レジャーとして楽しむ場合は、落ち着いて景色を眺められるようゆっくりと飛行するのに対し、選手たちが出場するレースではスタートからゴールまでのタイムを競う。

さほど体力を必要としないモーターパラグライダーの世界には、若い選手が少ないそうだ。そんななか、沖縄出身の安次嶺さんは16歳という異例の若さでプロとなり、レースに出場し始めたという。

「私がこの道に進んだのは、パイロットだった父親の影響です。親父が飛んでいる姿を幼い頃から見ていてレースに興味を持ち、9歳から飛び始めました。モーターパラグライダーのパイロットは、講習を受ければ誰でも資格が取得できるうえに年齢制限がありません。ただ入り口のハードルは低いんですが、自由に飛べるようになるまでには、ある程度の練習時間が必要なんです。毎日変わる風に対応する力を身に付けなければいけませんから」

モーターパラグライダーのレースに関するエピソードのなかで、筆者がもっとも驚愕したのが「一度飛び始めたら6時間ほど空中から降りられない」という事実。安次嶺さんは最長で7時間に及んだこともあるそうだ。

「レースの前日は、長時間トイレに行かなくても済むように食事量を調整するんです。6時間超えの耐久レースは、一般的な感覚だと相当過酷ですよね。選手のなかには、なりふり構わずオムツを着けて臨む人も(苦笑)。私にはできませんでしたが……」

パラグライダー 日本選手権

全国区で最高順位(2位)を獲得した「’96 パラグライダー 日本選手権」にて(右側が安次嶺さん)

スペインでの恐怖体験がトラウマに…克服できず21歳で引退を選択

レジャーとして楽しむモーターパラグライダーは、落下の危険性はほぼゼロだという。とくに海の上をフライトする沖縄では風が安定しているため、安心してフライトできるそうだ。しかし、レースとなると180度状況が異なってくる。標高の高い山の上からフライトするため、上昇気流につかまると、わずか15分で高さ6,000mまで上昇してしまうこともあれば、パラシュートがグシャグシャにねじれて落下してしまうことも……。

6,000mまで到達すると、当然、酸素が薄く息苦しくなるため、3,000mぐらいまでうまく下降する必要がある。また、パラシュートにダメージを受けたら、ありとあらゆる操作を試しながら回復させなければならない。高校を中退してレースに没頭していた安次嶺さんは、そういった危険な目に度々遭遇しながらも、どうにか乗り越えてきたそうだ。だが、21歳のときに出場したスペインのレースで感じた恐怖感は、いまだに忘れられないと語る。

「スタートする直前、私の目の前を飛んでいた選手が上昇気流に巻き込まれて崖に墜落したんです。すぐそこに危険な風があることがわかっていながら、自分の順番がきて飛ぶしかありませんでした。そうしたら案の定、すさまじい勢いでパラシュートがグシャグシャにねじれ、経験したことのないダメージに『リカバリーできないかもしれない』という恐怖が頭をよぎり……。でも落ちるわけにはいかないので、とにかく冷静さを保ちながら必死にねじれを回復させようと奮闘し、墜落寸前で危機を脱することができました。ただ、どうしてもそのときの恐怖感が消えず、トラウマになってしまったんです」

その後、安次嶺さんはトラウマを克服するため精力的にレースに出場するも、一度染みついた恐怖感は簡単に拭えるものではなかったという。そして、やむなく21歳で選手人生を終えた。

上空200mからは息をのむ絶景が!一生に一度は経験してほしい

引退後は、空を飛ぶ爽快感をひとりでも多くの人に味わってもらうべく、レジャーとしてのモーターパラグライダーのパイロットを開始。これなら安全で快適に空中散歩を楽しめる。さらに、一緒に空を飛んだお客さんが景色に感動し、感謝してくれることが、何よりのやりがいだと話してくれた。

現在は、「スカイスポーツ プランニング ブルースカイ」をご家族で経営し、アクティビティサービスの他、空中撮影やパイロットを育成するスクール事業まで手掛けている。

今回、関東から飛ぶ気満々でやってきた筆者も、念願のフライトを初体験させてもらった。実はこの日の午前中は強い雨が降っていて、「飛べないかもしれない」と言われていたのだが、午後になって急に太陽が顔を出し雨がやんだのだ。こんなラッキーは滅多にないため、飛行前から興奮気味。わずか15秒ほどでヘルメットやベルトなどを装着したら、「はい、飛びますよー! 浮いたらシートに座ってくださいね」と案内が。

モーターパラグライダー

促されるままほんの2~3歩走ると、あっという間に浮いた! 心の準備をする間もなく、上空200mへGo!

モーターパラグライダー

みるみるうちに地上が遠ざかっていく。最初は余裕がなく、思わず「わー!」と声が漏れる。少し上に上がると、キラキラ光った透明な海が一面に広がった。

モーターパラグライダー

場所により海のブルーはまったく異なる。写真には、見事なグラデーションがハッキリと写っていた。ただただ、自然の神秘に圧倒される。

モーターパラグライダー

この日は遭遇できなかったが、運が良ければウミガメやエイを肉眼で見ることができるそう。ぜひ動画で風の音とともに、よりリアルに空中を体感してみてほしい。

およそ10分間のフライト中、筆者が「怖い」と感じたのは地上を離れ上昇するほんの一瞬だけ。終始ゆっくりと飛行するため、きっと誰もが鳥のように優雅に自然美を楽しめるだろう。上空200mで数分間エンジンを止めてくれるタイミングがあり、無音状態で見る海はまた格別だ。訪れる際は、撮影用のカメラや携帯をお忘れなく。

沖縄での最高の思い出になった「モーターパラグライダー」体験。少しでも興味を抱いたら、ぜひ一度飛んでみてほしい。「これでもか!」というぐらいダイナミックな地球の息吹を感じられるはず。

 

取材協力
スカイスポーツ プランニング ブルースカイ

小林 香織

小林 香織 Facebook

2014年デビューのフリーライター。現在、「恋する旅ライターかおり」名義で、恋愛・旅・ライフスタイルジャンルの執筆にも挑戦中。人生の豊かさ、可能性を広げるためのメッセージを発信したいと願っている。自由な人生バンザイ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterをフォローしよう!

前の記事へ
一覧に戻る
次の記事へ
前の記事へ
一覧に戻る
次の記事へ