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November 29 2016 By ゆるすぽ編集部

腕の格闘技! アームレスリングの世界

アームレスリングと聞いてどういう印象を持たれるだろう。

「要は腕相撲でしょ」

「小さい頃、遊びでよくやっていた」

そんな声が聞こえてきそうだが、実際は腕相撲とは違うし、お遊びではない本気の競技として存在している。それを証明するように、アームレスリングには世界アームレスリング連盟(以下、WAF)というしっかりした世界規模の組織があり、そしてこの日本にもWAFに認知された日本アームレスリング連盟(以下、JAWA)という組織がある。この事実だけでも、アームレスリングという「競技」がある、ということはおわかりいただけるのではないかと思う。そんなアームレスリングの世界をより深く知るために、毎週土曜日に遠藤ジムでやっているという練習会を見学させていただくことにした。練習会の中でJAWAの遠藤会長と練習中のアームレスラーにもお話を伺ったので、その時の様子を紹介したい。

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練習会の様子

シンプルだけど奥深い競技

JAWAは1977年に設立し、40年に近い歴史がある。遠藤会長にはまず、その歴史の中で会長が考えるアームレスリングとは?という質問を投げかけた。

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とても御年70を越えているように見えない遠藤会長

――早速ですが、会長の思われるアームレスリングの魅力についてお聞かせください。

「アームレスリングは腕力だけではなくて、速さや技術も大事な奥深い競技。決着が早くつくのもいい。着の身着のまま、体一つでいいからお金もかからない」

――今、伺ったお話だと腕相撲との明確な差がイメージしにくい方もいると思うのですが、アームレスリングと腕相撲の具体的な違いとしてどのような点が挙げられますか?

「腕相撲は腕だけで倒すイメージがあるでしょ。だけどアームレスリングは言った通りで速さや技術も大事だし、体全体を使う。とにかく自分の形が崩れないようにして相手を倒すところは、競技として腕相撲とは違うところ」

――差としては、必要とされる能力の違いが大きいんですね。

「他には、世界的にルールが厳密に確立されているのがアームレスリング。確立される前の競技が腕相撲だね」

――ルールの違いには、どのようなものがありますか?

「例えば腕相撲は体重でハンディをつけるようなことはないが、アームレスリングは体重別、利き腕でしっかりクラス分けしている。体重50キロの人が片手で60キロを持ち上げる人にはさすがに勝てないから、その辺は競技としてしっかり体系化している。こういったルールの違いも大きい」

普及にかける思い

――アームレスリングで組織までつくろうと思うに至った、きっかけのようなものはあったのでしょうか。

「昔、テレビ東京(当時は東京12チャンネル)で勝ち抜き腕相撲っていう番組があって、私も出たことがあるんだけど、たくさんの出場者がいた。それでいろんなところに行ってはアームレスリングで挑戦されて、まあほとんど負けなかったんですけどね、腕相撲としてやっていても。そんな中で、これだけやっている人が多いということは、組織をつくれば選手が増えるのではないかということで立ち上げた」

――普及に繋げようということでしょうか。

「そう。しっかり組織をつくって、年に一回でも全国大会をやれば、持ち帰って支部をつくりますという人も出てくる。それで今では40都道府県に支部ができて、公認クラブや練習会も100件くらいはある。登録していないようなものも150や200はある。そういう人たちが熱を持って、庭とか車庫とか倉庫でやっている」

――普及という点について、もう少し掘り下げてお伺いしたいのですが。

「社団法人としての申請や補助金の申請といった活動もしている。来年のえひめ国体のデモンストレーションスポーツにもなっていて、誰でも参加できる形にして、まず体験してもらえるような場をつくったりもしている」

――組織の充実やイベントの開催といったことで全体へ普及していかれるということですね。

「そうですね。ただ、日本のアームレスリングはマスターズが割と充実しているので、そういう意味ではジュニアへ強く普及していきたい。例えば高校に部活なり同好会をつくるような活動ですね」

――若い世代への普及ということですが、こちらの練習会には若い方も多いですね。

「例えばジュニアアームレスリングの大会もあるし、高校選手権もある。さっきの話のように学校にアームレスリング部ができたところもある。若い世代にはそういうところから広まったり、あとはメディアから拡散したりということで集まってくれる、というのはあると思う。芸能人の方でアームレスリングが好きな方もいるから、そういうところから広まることもあるだろうね」

――芸能人の方というと、例えばどういった方がやっていらっしゃいますか?

「哀川翔さんはアームレスリングが好きで、ここに取材で来てくれたこともあるんですよ。私がアームレスリング台をプレゼントもしたし。体重の割に強かったイメージがあるね」

――最後に、アームレスリングの今後について、遠藤会長の思いをお聞かせください。

「最終的には国体やオリンピック、パラリンピックの正式種目を目指しています。私はアームレスリングをスポーツのバリアフリーと呼んでいて、場合によっては健常者と障害者が同じ土俵で勝負することもできる。わかりやすくて誰でもできる。場所もお金もそんなには必要ない。若い世代にも広がっているし、この勢いでもっと普及していきたいですね」

最後に壮大な目標を語っていただいたが、いつかそういう日が来ると思わせてもらえるほど遠藤会長のお話には熱があった。2016年12月18日には全日本選手権大会もあるので、この大会についてもレポートしたいと思う。

俺より強い奴に会いに行く! 若きアームレスラー

遠藤会長へのインタビュー後、他の方のお話も伺いたいと思っていたところ、まさに会長が普及しようとしている若い世代、高校生アームレスラーがいるとのこと。聞けばまだこの練習会には参加し始めたばかりという彼、石嶋くんに、アームレスリングへの思いを聞いた。

――アームレスリングを始めたきっかけは何ですか?

「もともと好きで友達ともやっていたけど、もう周りに勝負できる人がいなくなってしまって。それでアームレスリングについて調べたら、こちらの練習会があることがわかって、通うようになりました」

――なんとストイック……。練習会に参加してみた感想は?

「何もかもが全然、違います。やり方も遊びでやっていたことと違って、体の使い方とか学ぶことが多いです」

――これからも続けますか?

「続けます。高校生のうちに選手権で優勝するのが目標です」

――遠藤会長は五輪や国体でアームレスリングを正式競技化する夢をお持ちですが、そういった扉が開いたらチャレンジしたいですか?

「まだ、そこまでは考えられないですね……。まずは、高校選手権の優勝を最大の目標にしています」

――学校での部活動とか、他に運動は?

「部活はバレーボール部です。学校にはアームレスリング部がないので……、あれば入っているんですけど」

――ちなみに始めると言った時、ご両親は何か言いませんでしたか?

「やれるもんならやってみろ、と。なので、やっています」

――遠藤会長も将来有望だと期待していましたし、これからも頑張ってください。

「はい、ありがとうございます!」

遠藤会長の言う若い世代への普及は、彼のような選手を見れば間違いなく進んでいると思える。

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石嶋くん

単純な動機が支える競技への一途な思い

もう一人、川原選手にお話を伺った。川原選手はこの練習会を遠藤会長から任されている方とのこと。

――アームレスリングを始めたきっかけは何ですか?

「元々、普通のフィットネスクラブで鍛えていたんです。ただ、鍛えるだけだと数年した頃、やはりモチベーションが落ちかけて。それで何か腕試しできるものがないか、と思った時にアームレスリングがありました。まあ、10年以上も前の話ですけどね」

――動機自体は非常にシンプルだったんですね。

「そうですね。まあ、男の本来のモチベーションということもあるんですけど、例えば何か目的があって鍛えているのかと聞かれて、“何もない”と答えるのが嫌で。何も目的がないのに鍛えているのかよ、と。今はアームレスリングって胸を張って言えますね」

――ちなみにアームレスリングを始める前、あるいはそれより前の鍛え始める前と今では、どのくらい体格の変化がありましたか?

「運動は嫌いじゃなかったんですけどね、バスケとかやっていたんですけど部活とかはあまり積極的ではなくて。26歳の頃、自分、身長は186cmあるんですけど当時の体重が67kgで」

――今の体格からは考えられないですね。

「今は仕事が終わった後に週5とか6でトレーニングしていますから。自分はアームレスリングがあるからトレーニングが続いていると思います。なければ続いていなかったかもしれない」

――12月の大会はそういった成果を発揮する場だと思いますが、出場はされますか?

「出ますよ。まだ、メダルは取ったことがなくて。去年は5位だったんですけどね」

――今年はもっと上を目指す?

「そうは思いますが、ここから上を崩すのは本当に大変。上位はみんな変態ですよ!」

――活躍を期待しています!

「ありがとうございます」

最後に一枚、ポーズを取っていただいたが、「誰が考えたかわからないんですけどアームレスリングのポーズってこうなんですよね」と教えてくれた。そういえば石嶋くんも同じようなポーズだった!

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川原選手

いかがだろうか。ルール自体は単純でもやってみると奥深い、いつでもどこでも戦える、体ひとつがあればいい。敷居は低く、しかし志は高く! ゆるすぽはアームレスリングが世界中で脚光を浴びるその日が来るまで、追いかけようと思う。なお、JAWAではアームレスリングのイベントを開催したいとあれば、アームレスリング台やゴング、それにレフェリー(タイミングが合えば会長も!)の派遣も行っている。学校で、職場で、あるいは祭りの1イベントとしてやってみれば、盛り上がること請け合いである。

ゆるすぽ編集部

ゆるすぽ編集部

“みんなでつくるスポーツニュース”をコンセプトにwebサイトを展開。(http://www.yurusupo.com/)ファン目線を大事にし、スポーツニュースで報道される以外のさまざまなスポーツネタをゆる~く紹介しています。「ボーダレス」にも記事を展開。

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