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February 03 2017 By 中村多聞

アメリカンフットボールのポジション(後篇)

アメリカンフットボールのポジション(後篇)

前回では攻撃のポジションを説明しましたので、今回は守備側とその他をご紹介したいと思います。フットボールにおける守備は「守っている」には違いありませんが、プレイヤーの性格は、どう猛で血気盛んでないと務まり難いとされています。ボールを持つ1人の選手に「襲いかかる」という役割なため、獲物を狩る野性の勘が強くある選手が良い活躍を見せます。もちろんスポーツですから、ルールに縛られた上でチームとしての作戦がありますので冷静かつスマートさがなければ一流選手にはなれません。

「守備ライン」

体は縦にも横にも大きい部分は「攻撃ライン」と同じですが、隣の選手とのコンビネーションは重要ではなく、いかに自分が相手にとって邪魔な存在で居られるかが勝負です。押して押して引いて突っ込む。パスを投げる前のクォーターバックにタックルできると、とても称賛されます。「攻撃ライン」のコンビネーションの隙を見つけ大きな体で激突し続ける体力と根性が多く必要なポジションといえます。

「守備バック」

主な役割はパスを防ぐこと。飛んで来たボールを攻撃側にキャッチされないようにカットしたりキャッチしたりで邪魔します。時にはキャッチされた後にハードなタックルでボールを落とさせるというファインプレーもあります。ルール上、投げられたボールが空中にある間は選手同士の接触は禁止されています。競り合っている敵と味方は相手に当たらないようにボールに向かって行かねばならないのです。これが非常に難しく、ついつい接触してしまいます。そうなるとかなり重い罪の「反則」となり審判が黄色いハンカチを投げ、テレビの視聴者も会場もシーンとなり凍りつきます。果たしてどちらの反則なのか!? プロではテレビ局とのタイアップでビデオ判定が当たり前になっています。リプレーを見て「反則じゃないよ!」「これは反則だな!」なんて盛り上がります。そしてなによりも一番のファインプレーは、やはり「インターセプト」です。文字通り攻撃側が投げたボールを守備がキャッチしてしまうことです。そしてそのまま走ってタッチダウンまで行くこともあります。全ての守備バック選手は「インターセプト&タッチダウン」を狙っています。170cmくらいの小兵や、190cm超えの大型選手までいろいろいますが、すさまじい運動神経が備わっています。

「ラインバッカー」

「守備ライン」のすぐ後ろ、「守備バック」の前に位置し、相手のラン攻撃にもパス攻撃にも対応しなければなりません。ランプレーだと気づけば前に突進し少したりとも進ませないようにタックルをし、パスだとわかれば散り散りに走り回るレシーバーらに目を配りパスがどこに投げられるのかを観察します。守備選手全員の役割と動きを把握し、時には作戦を変更したり修正したりという役割を担う選手もいます。戦況の把握と作戦の理解力が非常に求められる上に、速度のついた状態からタックルする回数が多いのでけがにも強い必要があります。

以上が2回に分けて説明させていただいた「攻撃5種類」と「守備3種類」です。これ以外にもいろいろあるのですが、この8種類だけを押さえておけばゲームを見る場合にどうにかこうにかなると思います。そして最後にボールを蹴るという専門のポジションをご紹介しておきます。

「キッカー」と「パンター」

各チームに1人ずつ所属し、給料が最も安価なポジション。サッカーが世界で一番競技人口が多い球技だそうですが、元サッカー選手でもできるということで、競争相手がメチャクチャ多い上にプロの32チームに1人ずつですので、プロのキッカーという身分の人は年間に32人しか存在しないという厳しさです。これはパンターも全く同じです。キッカーは地面に置いてあるボールを蹴ります。得点のためにH型のゴールポストに向けて蹴る場合と、キックオフの時に遠くへ蹴るという2種類の仕事をします。飛距離、正確性が問われ、大きな試合での重要な場面でもいつも通り蹴ることができる強心臓でなければ務まりません。パンターは手に持ったボールを高く遠くまで蹴ります。簡単なようですがとても難しい技術の集合体で、誰にでもできるわけではありません。パンターはボールの扱い(ハンドリング)が非常にうまいので、キッカーのためにボールを地面に置くという役割も担います。これを「ホルダー」と呼びます。昔は控えのクォーターバックが「ホルダー」をしていましたが、現代ではパンターの仕事です。キッカーとパンターは他のポジションのみんなとは一緒に練習せずに別の場所で蹴り続けているのが特徴です。キッカーやパンターの名前を知らないという選手もチーム内に多く存在しています。自分たちが命を削って60分間戦ってきたものを、彼らがヒト蹴りで終わらせるということが気に入らないというのが理由です。

キッカーもパンターも蹴った後にキャッチした敵選手がリターンしてきます。通常は自分以外の10人がタックルしてくれるのですが、稀に最後の砦である自分のところまで来られてしまうことがあります。その時に運動神経抜群のプロ選手が全速力に近い速度で走ってくるのをタックルするかサイドラインに押し出さねば得点されてしまいます。その技術と体力も求められるので、昨日までサッカーしてました、というキック力が特別優れた選手でもなかなか役に立ちません。僕は日本の社会人リーグでサッカー日本代表だったキングカズさんや中山ゴンさんが出てくださればいいなと常々思っています。

いよいよ2月6日(日本時間で朝)に世界一決定戦の「スーパーボウル」がキックオフです。本国アメリカでは、トランプさんのことはいったん置いておき、スーパーボウルの話題で大変なことになっています。我々ファンも非常に楽しみな一戦ですので、月曜の朝は気の合う友人らと楽しくテレビ観戦したいと思っています。

アメフト①

SATO MAKOTO

中村多聞

中村多聞

1969年 大阪生まれ。 練習もままならない大学3部リーグの恵まれない環境からフットボールを始め日本を代表するアメリカンフットボール選手に。国内ではアサヒ飲料在籍時に日本選手権ライスボウルでMVPを獲得。本場アメリカNFLのグリーンベイ・パッカーズと契約、NFL傘下のNFL欧州ライン・ファイヤーと複数年契約するなどプロ選手として活躍した。現在は大阪と東京で飲食店を運営する会社を経営する傍ら「多聞式バックス養成所」で後進の指導にあたっている。

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