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October 15 2015 By 石狩ジュンコ

ハリウッドセレブも取り入れた、イスラエル発の誰でもできる護身術「クラヴマガ」とは?

20世紀前半、イスラエルで考案された近接格闘術に「クラヴマガ」というものがある。人間が本能的に持っている条件反射を利用しているため、短期間のトレーニングでも性別、年齢、体力、体格を問わず身に付けることができるクラヴマガは、競技規則のあるスポーツ競技ではなく、実生活で起こりうる状況で効率的に動くことを目的とした、完全実戦主義の護身術だ。

イスラエル軍以外にも、アメリカではCIAやFBIといった米国政府機関が採用しているクラヴマガ。さらには映画「トゥームレイダー2」の収録のためにアンジェリーナ・ジョリーが、映画「イナフ」収録のためにジェニファー・ロペスがクラヴマガのトレーニングを受けるなど、ハリウッドセレブの間でも広く知られている。実戦的なスキルが身に付くだけでなく、もちろんボディメイクにも効果的なので、国内でもフィットネスとして習う人が増加中だ。

そんなクラヴマガの魅力や他の格闘技との違いなどについて、クラヴマガ・ジャパン公式認定トレーナーの柴田リエールさんにお話を伺った。

柴田リエールさん

クラヴマガ・ジャパン公式認定トレーナーの柴田リエールさん

 

――柴田さんがクラヴマガに出会ったきっかけを教えてください。

柴田リエールさん(以下、リエール):もともと海外に行くことが多かったこともあり、最低限は自分の身を自分で守る護身術は身に付けたいと思っていました。でも当時、日本にはボクシングや格闘技など、トレーニングをして体を強くする目的のジムしかありませんでした。そういったジムでは思っていたニーズと違うため、なかなか始められずにいたんです。そんな時、WEBでオープンして間もない時期のクラヴマガ・ジャパンの存在を知り、すぐに電話をして通い始めたのがきっかけです。

 

――通い始めてからインストラクターになられるまでは、どのくらいかかったのでしょうか。

リエール:毎日通い続け、1年後にはクラスのアシスタントをやっていました。そもそも、やるなら徹底的にやらないと身に付かないだろうと思い、電話をした時点で「インストラクターになりたいです!」と言ったんです。趣味で適度に通うのも充分ですが、私の性格上ハマったらとことんやりたかったので、指導者になって完璧に身に付けようと思ったからです。

当時は一番多くて週に4時間習うコースしかなかったのですが、指導者になるには格闘技の経験がある人でも5年はかかると言われました。そこで、特別に毎日通わせてもらえるようにお願いしたんです。仕事が終わってから最終の時間まで毎日3時間から4時間習うほど、徹底的に通いましたね。

 

――そこまでリエールさんを夢中にさせたのは何だったのでしょうか。

リエール:クラヴマガを知った時に一目惚れのような感じで、「絶対これは身に付けたい!」と思ったからですね。

もともと舞台のお仕事をしていたほどクラシックバレエを長い間していましたが、もちろん格闘技はやったこともなく拳の握り方さえもわからない状態でした。クラシックバレエの経験のおかげで足を上げたりけがをしにくかったりといった柔軟性は役立ちましたが、ただ足が上がるだけでキックもうまくできず、攻撃しているのに自分の足がアザだらけになりました。体も華奢な方の私に対しては、周りは習い続けることはおろか、指導者になるなんて無理だろうと思っていたようですが、自分の中では始めたころから何故か確信があったんです。誰もが予想していなくても自分だけは絶対にできるという自信と、とにかく楽しくてどっぷりハマったことが続けてこれた理由だと思います。

 

――実際に、クラスではどのようなことを教えていらっしゃるのでしょうか。

リエール:ハードテクニックとソフトテクニックがあり、習熟度によってクラス分けをしているのですが、例えばナイフを振り回された時にどうするのかといったナイフディフェンス、棒状のもので殴り掛かられそうになった時にどうするのかといったスティックディフェンスなど、さまざまなディフェンス方法を教えています。

また、日常生活の危険をどう回避するかという実戦主義のスポーツなので、アウトドアトレーニングもやっています。コンクリートや砂場、目隠しをした状態、さらにはスカートにヒール、手提げバッグといった、ジムの中でジャージ姿以外の、普段の状況の中での技や使える道具をどう使っていくかも教えています。ヒールでスタンプキックする(下方向に踏みつける)、バッグを使ってディフェンスする、タイトスカートで足が上がらない場合の防御などは、女性にぜひ覚えていただきたいスキルですね。

 

――習っている生徒さんの男女比はどのくらいでしょうか。

リエール:今は男性7割、女性3割くらいです。女性だと、OLさんやモデルさんなど全くスポーツをやったことがない方も楽しみながら習っています。護身術を学べるだけでなく、体力や筋力、柔軟性もつくのでダイエットにもなりますし、ストレス発散にもなるので一石二鳥、三鳥なスポーツだと思います。

また女性にもオススメしたいポイントとして、クラヴマガは1つの技でいろいろなシチュエーションに応用できるため、何通りも型を覚える必要がないといった点もあります。例えば殴り掛かられそうになった時に、とっさに顔の前に手が出ますよね。そういったとっさに出た条件反射の行動からつながった動きになるので、体が萎縮せずに覚えやすくて忘れにくいんです。

 

――いざという時に自分で自分の身を守れる安心感や技術が身に付いていく実感があるので、ダイエットとしても続ける楽しみがありますよね。

リエール:そうですね。筋トレやランニングなど、確かに結果が出れば楽しいかもしれないですが、痩せることだけを目的としたダイエットはつまらなくて続けられないことが多いと思います。でもクラヴマガはダイエットだけでなく、結果が出るころには技術や体力の向上、さらには護身術が身に付くことで自分に自信がついたり、緊張感を持った体が手に入ることで仕事面でもメンタルが強くなったり、といったいろいろな効果が期待できるんです。

柴田リエールさん

華奢な身体から蹴りだされるキック

リエールさんに、簡単な技を教えていただいた。

腕をつかまれた時

手をパーにして外側に回し、相手の方向にグッと体重をかけると、回り込むように逃げることができます!無理に振りほどこうとしたり、相手と逆方向に逃げるというのは、相手の力が強い場合には困難。相手が引っ張る力と、てこの原理を利用したこの動きで、危険を回避できます。

クラブマガ

腕をつかまれた時

後ろから抱きつかれるようにして襲われた時

まず腰を落として重心を低くし、左右どちらかに腰ごとスライドします。すると相手のお腹~太ももあたりにスペースができるので、太ももや股間などをグーでパンチするか、手のひらをパーにしてみぞおちあたりをひじ打ち!また、後ろから抱きつかれると逃げようとしてそのまま前に移動したくなりますが、これは相手も前のめりになってこちらに体重をかけてこれるので逆効果。重心を低くして後ろにもたれるように体重をかけると、相手もバランスを崩しやすいので効果的なんだそうです。

クラブマガ

後ろから抱きつかれるようにして襲われた時

■参考リンク
クラヴマガ・ジャパン公式HP http://www.kravmaga.co.jp/
リエール社公式HP http://rieir.com/
(石狩ジュンコ)

石狩ジュンコ

石狩ジュンコ Twitter Blog

フリーライター。89年、山形県生まれ。 女性の生き方、社会問題、カルチャー、インタビュー、翻訳などを執筆中。 好きなものはラジオ、仏教、「スターウォーズ」、「ミナミの帝王」、純喫茶、ブティック。 スポーツ歴は小学校でバスケ、中学校で陸上(中長距離、走り幅跳び)、高校で女子サッカー。

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