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April 06 2017 By 小林 香織

「日本とアフリカの子供2,000人をダンスでつなげたい」、共感の輪からはじまった旅—ダンサー・中込孝規(前編)

中込孝規

「世界中の子供にダンスを教えながら世界一周したい」。そんな長年の夢を叶えるため、新卒入社で4年勤めた会社を退職。2014年に世界一周に出発した中込孝規(なかごめ たかのり・29歳)。アフリカを中心に、旅はおよそ1年半にも及んだ。
1万人の子供にダンスを教えて世界一周!震えるほどの感動が待っていた-ダンサー中込孝規

世界一周を終え「夢は叶う」ということを体感した彼は、2016年さらなる野望を抱く。「相手を尊重し、自分自身も認め、国や言葉や文化の違いを超えて、世界中の子供同士が友だちになれる社会をつくりたい。そのために、日本の子供とアフリカの子供2,000人をインターネット中継でつなぎ、ダンスを通じて交流を図りたい」。

10月3日、大勢の支援者に見守られながら日本を出発し、約3ヵ月にわたりアフリカで全身全霊を捧げた活動を展開。倒れる寸前までエネルギーを燃やしつづけ、帰国の途についた。人生を懸けた一大プロジェクトを終えた中込は、今なにを思うのか。旅のストーリーと彼の胸の内を届けたい。

中込孝規

初のクラウドファンディングは最大のチャレンジだった

2014年の世界一周と今回のアフリカ滞在で、180度違ったこと。それが「クラウドファンディングサービスを活用して、プロジェクトの支援金を募ったこと」だった。しかし、一番の目的は“資金調達”ではなかったと中込は語る。

「実は世界一周のときもクラウドファンディングをしようかと考えたんですが、援助をしてもらうことによって、夢だった世界一周が“義務”になってしまう気がしたので、その選択をしませんでした。今回は僕の思いに共感してくれるたくさんの人を巻き込んで、みんなでプロジェクトを達成したかったんです。“仲間づくり”、それが真の目的でした」

とはいえ、根っからの小心者である中込は、「本当に支援者が集まるだろうか」、「批判されないだろうか」との恐怖から、ギリギリまで思い悩んだ。最終的に心を決められたのは、世界一周を叶えた経験があったから。「怖くてもやりたいことを達成した先には、幸せな未来が待っている」、それは中込が身をもって実感した真実だった。

中込孝規

ありったけの気持ちを込めてSNSやブログで告知を打ち、気分が悪くなるほどの緊張感のなか、クラウドファンディングの初日を迎える。目標額は100万円。「思いきった決断をした」と自分でも思った。「確実に成功する金額にしたほうがいい」、担当者からそんなアドバイスを受けつつも、中込はあえて挑戦の道を選んだのだ。

「開始直後は誰からも反応がなくて、『うわ、どうしよう』と思わず冷や汗が出て。でもその後、一気にシェアが広がって、3日間で50万円ものご支援をいただきました。28日後には目標の100万円を達成することができて心底感動したし、お金だけじゃなくて心で応援してくれていることが純粋に伝わりました」

最終的に1ヵ月強の募集期間で、中込の予想をはるかに上回る145人の支援により1,522,000円の支援金が集まった。言葉にならないほどの熱い気持ちが込み上げた。と同時に、「絶対にこのプロジェクトを成功させなければ」と少なからずプレッシャーも生まれていた。

「楽しむことが一番のリターン」、最高の仲間と共にアフリカへ

中込孝規

通常クラウドファンディングでは、「リターン」と呼ばれる特典を用意する必要がある。中込は支援者限定のFacebookグループへの招待やアフリカの布を使った小物類のプレゼント、個別のダンスレッスンなどを用意。

出発が近づくにつれ緊張感を募らせる中込の様子を見て、支援者のひとりがこんな言葉をかけてくれた。

「ゴメが楽しむことが一番のリターンだから」

「旅をするなかでワクワクしたこと、感動したことを伝えてほしいと言ってもらえて、すごく気が楽になりました。『義務と考えるのではなく僕が思いっきり楽しむことで、みなさんにもこの旅をナチュラルに楽しんでもらえるんだ』って。そして支援者の方には、『繕わずありのままの気持ちを伝えたい』と思いました」

中込孝規

中込のFacebookには、支援者と中継サポートメンバーを加えた特別なグループが誕生。トータル約160人を超える最高の仲間との旅路となった。

今回の旅は在ガーナ日本国大使館の協力を受け、ガーナを皮切りにウガンダ、ルワンダにそれぞれ1ヵ月ずつ滞在。当初は半年ほどの予定だったが、ギュッと凝縮され3ヵ月間でアフリカと日本の子供たち2,000人をインターネットを使った映像中継を通じて、つなげることができた。

「ガーナではダンスワークショップの他に、現地の日本人の方が手がけた『よさこい祭』など、いくつかのイベントに出演しました。印象的だったのは、大きなステージでオーストラリア人のダンサーと踊ったコンテンポラリーダンスのショー。未知のジャンルでしたが、自分の器を自分で決めたくなかった。知らない世界に足を踏み入れることで、可能性が広がることを改めて感じましたね」

中込孝規

ウガンダでは地域を変えて延べ13回のワークショップを実施。ルワンダでは1ヵ月間同じ小学校に滞在し、現地の子供たちと岐阜県にあるキッズダンススクールの子供たちで一つのダンス作品を作り上げた。「ルワンダでの取り組みが、世界一周からつづく一連の活動の集大成だった」と中込は言う。

「本当に子供たち同士の深い関係性を築けるのか」、自問自答しつづけた1ヵ月

「単発のワークショップでも国境を超えたコミュニケーションが生まれて、子供たちの世界を広げることができました。ただ、『一度きりではもったいないな』という思いがあったのも事実。それを踏まえて1ヵ所にじっくりと腰を据え、両国の子供たちにお互いを深く知ったうえで、仲良くなってもらいたかった」

一つのダンス作品を共作するにあたり、ルワンダと日本の子供たちそれぞれが振り付けを考えるパートを設けた。さらに、自分たちの住む街を紹介するムービーを撮影して見せ合ったり、両国の布を使って一つの絵画作品を作ったり、メッセージを送り合うなど、子供たちが楽しみながら交流できるよう心を配った。

中込孝規

ルワンダの小学校はちょうど学期休み期間。連日、朝から昼過ぎまでワークショップを行い、深夜まで翌日の準備を行うというハードスケジュールがつづく。「子供たちがお互いに自然と心を開いて、交流できる場をつくりたい」、その思いから睡眠時間を削って取り組むもうまくいかず、頭を抱える日もあった。

「ルワンダの街の紹介ムービーの撮影をしたとき、子供たちが『プール付きのキレイなホテルに行きたい』と言うので、連れて行ったんです。そうしたら、みんな遊びたい気持ちが爆発しちゃって。一人の子が『近くの友達の家にも行きたい』と言い出し、『今日は行けないよ』と伝えたら『I’m angry』と怒り出して……。このときは本当に悲しかった」

子供たちの一番の欲求は「自分が楽しむこと」。日本の子供たちを知ることや彼らとコミュニケーションをとることは二の次。子供たちの欲求を満たしながら自分が伝えたいことを伝えるには、どうすればいいのか。

試行錯誤の毎日のなかで失敗するたび、中込の心には葛藤が生まれた。「僕がやりたいことに子供たちを付き合わせているだけなんじゃないか」、「本当にこのやり方で子供たち同士の深い関係性が生まれるだろうか」と。

しかし、2週間が経過した頃から子供たちの関係に変化が表れる。そしてワークショップ最終日には、それまでの迷いが一瞬で吹き飛ぶほどの感動の嵐に包まれたのだ。

 

中込 孝規
BLOG:世界一周!1万人の子どもにダンスを教える旅@平塚で「世界とつながるダンス教室」開校
Facebook:中込 孝規
Twitter:中込孝規@アフリカでダンス教えてる人
Instagram:@nakagome63

 

(取材・文:小林 香織)

小林 香織

小林 香織 Facebook

2014年デビューのフリーライター。現在、「恋する旅ライターかおり」名義で、恋愛・旅・ライフスタイルジャンルの執筆にも挑戦中。人生の豊かさ、可能性を広げるためのメッセージを発信したいと願っている。自由な人生バンザイ

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