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May 13 2017 By 伊澤佑美(いざわゆみ)

“誰でも”参加できる、それがワールドマスターズゲームズ

4月30日、ワールドマスターズゲームズ(WMG)2017が幕を閉じた。今大会も年齢や性別、国籍を超えて、たくさんの人が切磋琢磨し、大いに楽しみ、笑い、涙し、さまざまなドラマが生まれた。スポーツの国際大会だけに、記録やメダルの獲得に気をとられがちだが、WMGの楽しみ方は、それだけではない。スポーツ好きなら“誰でも”参加できるのがWMGだ。たとえ、競技の初心者であっても、門戸は開かれている。

わずか半年の練習で国際大会に出場

近藤良一(こんどう・りょういち)は、バドミントン初心者だ。初めて本格的な練習を始めたのは半年前の2016年夏。近藤はもともと、バドミントンの聖地と呼ばれる、大阪府守口市の会社に勤めており、「ここで2021年のWMG関西大会のバドミントンが開催されたら、もっと地元が活性化する」との思いから、招致活動に携わっていた。惜しくも、守口市は開催地に選ばれなかったが、それをきっかけにWMGに興味を持ち、目の前に迫るオークランド大会への出場を決めた。

ワールドマスターズゲームズ2017

競技を始めて半年。WMGに初挑戦した、近藤(左)と市耒晃次(いちき・こうじ)ペア。

「せっかく出場するなら、ここ守口で盛んなバドミントン」と、競技を定め、練習を開始した。そう頻繁に練習することはできなかったが、徐々にプレーとして形になり始め、ルールも覚えた。WMG前には試合も経験しておこうと、今年3月に大阪市東住吉区の大会に出場。そこで初めて公式戦1勝を挙げた。

この勝利の喜びをWMGでも味わいたい。目標は「1勝」。そう意気込んで、ニュージーランド・オークランドに乗り込んだ。

しかし、現実はそう甘くはなかった。出場したのは、バドミントンのレクリエーションクラス。最も競技レベルが低いクラスのはずだったが、競技場内にひしめく選手たちは、みな自分よりもずっとうまく見えた。

ワールドマスターズゲームズ2017

Photo by James Yang

ワールドマスターズゲームズ2017

Photo by James Yang

ワールドマスターズゲームズ2017

場内にひしめく強豪たち。Photo by James Yang

結果は1試合目、2試合目ともにストレート負け。しかし、試合を終えた後の近藤の顔は意外にもすっきりしていた。

「まさか自分がスポーツの世界大会に出られる日が来るなんて、思ってもいなかったので、出られただけで夢みたいにうれしい。対戦相手にもプレー中にenjoy! と声をかけてもらいましたしね、本当に楽しかったです。負けたとはいえ、いちおう点も取れましたしね」

ワールドマスターズゲームズ2017

パートナーの市耒と共に懸命にプレーし、そして楽しんだ近藤(右)。

2021年に控えるWMG関西大会に向けて、近藤はバドミントンを続けたいと話す。「せっかく始めたんですからね」。充実感に満ちた表情の中にも、眼鏡の奥にはかすかな悔しさが感じられた。

関西大会までには、まだあと4年ある。始めたばかりのスポーツでも、これから始めるスポーツでも、きっと4年後には形になる。WMGへの道は、決して経験者のためだけに開かれているのではない。多くの人が挑戦し、楽しめる。それがワールドマスターズゲームズだ。

ワールドマスターズゲームズ2017

左から、近藤、市耒、中井敦司(なかい・あつし)、田村匡(たむら・ただし)。仲間でペアを組み、WMGにチャレンジした4人は、2021年、関西大会での再戦を誓った。

(文・写真/伊澤佑美、写真/James Yang)

伊澤佑美(いざわゆみ)

伊澤佑美(いざわゆみ)

PRプランナーであると共に、東京を拠点にライター・編集者として活動中。スポーツ取材から食レポ、旬ネタまで、幅広い分野の情報を発信している。フルマラソン4年目にして、サブ4を達成したファンランナー。 ※東洋経済オンラインでもコラム執筆中

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