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May 29 2017 By ゆるすぽ編集部

ラジカルに、そして海賊らしく。横浜ビー・コルセアーズCEO岡本尚博さんに聞く

横浜ビー・コルセアーズの代表取締役CEO岡本尚博さんにお話を伺うことができた。

岡本さんは、横浜ビー・コルセアーズのCEOになられて2年目。欽ちゃん球団・茨城ゴールデンゴールズ代表、 bjリーグマーケティングプロデューサーを経て、ビー・コルセアーズがBリーグに入るための準備を行うべく代表取締役の職に就き、現在に至っている。

CEO 01

ビー・コルセアーズは、Bリーグができる前のbjリーグ時代に優勝を争いながらも経営破綻の危機があった。その危機を回避するために東奔西走し、ビー・コルセアーズを再生させたのが、当時bjリーグのマーケティングプロデューサーだった岡本さんだ。そして、このことが、岡本さんをビー・コルセアーズのCEOへと導いていく。

「ビー・コルセアーズが経営破綻の危機で、選手、スタッフへの給料も払えない状況の時に、僕はbjリーグのプロモーションとか、イベント統括プロデューサーをやっていまして、リーグのファイナル、プレーオフの総責任者をやっていたんです。そのときに横浜が、プレーオフまでもたないかもしれないって話になって。おいおいそれは困るよと」

今では、ホームアリーナである横浜国際プールを満員にするほどになったビー・コルセアーズだが、当時は散々な状態だったそうだ。

「ビー・コルセアーズに実態調査をしに行ったんですが、会場は殺風景だし、客はいないし、でも強いし、よく分かんない状態になっていて、経営状態を見たらひどいしで。あのときはまさに暗黒時代だったんです」

優勝争いをしながらも、経営破綻の危機に陥っていたビー・コルセアーズのことは、bjリーグにとっても大問題だった。

「横浜はあのとき優勝争いをしているチームでしたから、bjリーグとしては横浜を存続させて、ファイナルを終了させないといけない。で、経営の手助けをしたんです。なんとか資金繰りができて、選手にも給料が払えるようになって、横浜は優勝したんですが、優勝したら潰せないわけですよ。優勝チームが潰れたら、bjリーグとしてもダメージは大きいですから」

CEO 02

もともと広告代理店出身である岡本さんは、CEOでありながらビー・コルセアーズのグッズ、キャッチコピー、選手スカウト、ブランディングイメージに至るまでを率先してやるアイデアマンだ。ビー・コルセアーズをなんとか存続させようと奔走していたときも、あるアイデアで大きな賭けに出る。

「最後のギャンブルで、株式を公開して、ブースターに販売したんです。一株5万円だったんですが、説明会で『今は紙切れです。もしくはあるだけ邪魔かもしれない。でも3年は少なくとも保持してください。3年後には価値を出せるように頑張りますが、それも約束はできません。それでも良ければ、買ってください』という話をしたんです。400株ほど買っていただき、合計2000万ぐらい集まりました。皆さん、冬のボーナスを注ぎ込んでくださったりとか、友達3人で10万集めたんで二株買いますとか。ありがたかったですね」

これはさまざまな血の滲むような努力が実ったひとつであり、もっと気が遠くなるような多大な資金を要したが、それもなんとかクリアした。そして、岡本さん、植田球団代表、スタッフ、ブースターの努力と情熱が実り、経営破綻を回避し、ビー・コルセアーズは存続した。次なる難関は、新しくできるBリーグで1部になるか、2部になるかだった。

「Bリーグができることになって、ここで勝負をかけて1部(B1)に行かないと、いずれ1部でってやっていたら、横浜の場合は無理だなと思ったのと、短期で勝負をかけないともたないっていう状況があったんで、1部で活動すると宣言して、もうのるかそるかの勝負でした。bjも終わりましたし、そこで、僕がビー・コルセアーズの代表取締役になったんです」

この時点では、誰もがビー・コルセアーズが1部に入れるとは思っていなかった。

「Bリーグ最初の説明会の時に、B3(3部)からならスタートできますよ的なことを言われて、絶対B1入れてやる!って火が付きましたね」

“大逆転のビーコル”という、今では語り草になっている言葉がある。これは、優勝したbjリーグ時代から言われていたが、今回絶対にビーコルのB1入りはないと思われていた中で、岡本さんたちが必死の努力で資金のめどを立て、B1入りへ、ひとつ、またひとつと基準を潰していき、ギリギリでB1入りを果たしたことでより浸透した異名だ。

Bリーグ発足当時の初代チェアマン川淵三郎氏は、公式コメントで「最終的に大逆転で(B1に)1チーム入りました」と言い、岡本さん、ビー・コルセアーズ関係者、そしてブースターは共に喜びを分かち合った。

「たぶんね。95%の人が、B1に入らないと思ってましたね。でもリーグは、B1入りの審査基準を、経営の基盤と事業体制のみで、成績は関係なしって言ってくれたんで、僕は芽があるなと思ったんです。これが前年の成績とか、この5年間の成績が評価の対象になっていたら、もうお手上げでした」

岡本さんは、ここまで乗り切って来れたことを全て“運”だと言う。

「僕の強みがあるとしたら、“運”。運は強いんですよ(笑)」

CEO 03

横浜ビー・コルセアーズは、エンターテインメント性を重視し、特化している。

“勝つことに付随するエンターテインメントが、ファンサービスである”

スポーツをビジネスとしてやっていく中で、そういった独自の考えを貫いている。岡本さんがかつて球団代表をしていた欽ちゃん球団・茨城ゴールデンゴールズで、萩本欽一さんから、こういう考えを多く学んだという。

「僕のこの考えは昔からあったんですけど、より明確になって、はっきりさせたのは、欽ちゃん球団で代表をやっていたときです。あのときに萩本さんと4年ぐらいみっちりやりました。茨城ゴールデンゴールズは、僕と萩本(欽一)さんとで作ったんです」

茨城ゴールデンゴールズは、メインストリームのNPB(プロ野球)ではないにもかかわらず、さまざまな見せ方で、欽ちゃん球団として話題を呼んだ。野球というスポーツを見せながら、エンターテインメント性も融合させたスタイルは当時、斬新だった。

「あれも実験的ではあったんですけど、萩本さん自身が、人気が低迷していた野球をお客さんに寄せるとどうなるか?をやってみようとスタートしたんです。萩本さんは24時間、大衆芸能、エンターテインメントを考えている方なんです。あのときにエンターテインメントや、いろいろなことをすごく勉強させてもらいました」

岡本さんにはもうひとつ持論がある。

「当然、強いことは求められているし、強くないといけない。でも強いだけで、本当に共感が得られるのかなって思うんです。これはアイドル論になるんだけど、今の芸能界で人気のある人って完全無欠の二枚目ではない人なんですよ。ツッコミどころがあったり、三枚目とか、お笑いができるっていうところ。自分の欠点を見せないと人気が出ないと思うんです。だから、強いだけのスポーツチームが果たして本当に人気になるのかなって」

つまり、あまりにきれい過ぎて、美人過ぎる、イケメン過ぎる、スポーツで言えば、ストーリーのない強さでは、共感が得られないという考え方だ。

2月4日にあったラスト1.7秒のブザービーターでの勝利。あの超絶な大歓喜はビーコルならではの歓喜のカタルシスだった。

CEO 04

「弱さも共有してもらっているからこそ、あのブザービーターのように、勝ったときにはこれまでに鬱積したものが一気に爆発するんです。あのカタルシスは、ビー・コルセアーズの現段階でのフェーズだと思います。もちろん、それがずっといいわけではないと思っています。ブースターに喜んでもらうためには、強さの部分でも成長しないといけない。今やっていることが正しいかどうか、今は答えが分からないですが、僕が引き受けちゃった以上やるしかないし、やるだけです」

そして、ブランディングを重視する岡本さんならではのビー・コルセアーズ論がある。それは確固たるアイデンティティー。“コルセアー” 、海賊の美学だ。

「僕が受け取ったものが、ビー・コルセアーズである以上、コルセアーって名前を使っていくんであれば、チームがやっていることと名前とを一致させないといけない。これらが別々のブランディングの動きになっていたらダメなんです。受け取ったものが、ビー・コルセアーズであったことが、今の僕の方向性を決定づけているんです。これがマリーンだったら、また違った動きになっていました」

成長と発展の過程にあるビー・コルセアーズ。岡本さんは選手たちに言っていることがある。

「今は、油断していると噛みつかれるみたいな怖いチーム。オレたちは規律正しいマリーン(海兵)じゃない、コルセアー(海賊)だから。一糸乱れぬ行動をやって強いっていうのじゃなくて、一騎当千の強者が、ある瞬間に、ある目的のためにパワーをひとつにまとめて発揮する。それ以外のときはバラバラでもいい。でも、まとまったときは怖いみたいなチームにしよう。そう選手たちにも言っているんです」

CEO 05

イケメンで魅力的なコルセアーたちが、勝利という目標に向かって邁進する姿を味わう極上のエンターテインメント。それが現時点でのビーコルのフェーズだ。

横浜ビー・コルセアーズは、これからどう進化していくのだろう。それは、誰にも分からない。しかし、ビーコルの進化を見ることは大きな楽しみだ。

「日本でバスケットボールチームと言えば、ビー・コルセアーズだよねって言えるところまで行きたい。それがアジアまで広がってくれればいいですよね」

岡本さん独特の考えが実った完成形を、ぜひとも見てみたい。

「成長ストーリーを楽しむみたいなところも、ビーコルのブースターにはあると思っています。親族みたいですよね。今のビーコルに足りない部分を、ブースターや、株主、スポンサー、選手、スタッフに埋めてもらって進化するのがビーコルだと思っています」

ビー・コルセアーズの危機を救い、再生させた岡本さんの経営手腕、ブランディング、イメージ戦略はとてもロジカルに感じた。そう言うと、岡本さんはこうきっぱりと言った。

「すべて“運”と“縁”です。資金集めでも、選手獲得でも、“運”と“縁”以外のなにものでもないから。横浜市内に5000人入れるように造り直せる横浜国際プールがあったのも運なんですよ。いろんな運と縁が重なって、いろんな方の尽力があって、今の横浜ビー・コルセアーズがあるんです。でも、ロジカルではない。オレはフリーダムで、既成ではないところへ活路を求めるっていう生き方をずっとしてきたから、どちらかというとラジカルなんですよ(笑)」

“ラジカル”、海賊軍団の総帥らしい、この強い言葉に大きな共感を得た。

ゆるすぽ編集部

ゆるすぽ編集部

“みんなでつくるスポーツニュース”をコンセプトにwebサイトを展開。(http://www.yurusupo.com/)ファン目線を大事にし、スポーツニュースで報道される以外のさまざまなスポーツネタをゆる~く紹介しています。「ボーダレス」にも記事を展開。

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