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June 15 2017 By 木村和久

ゴルフの未来図~飛距離至上主義の崩壊

未来図No5アップ

岡村治栄

円広志の歌じゃないですが、日本のゴルフ界は「飛んで~飛んで~飛んで、飛んで~♪曲がって曲がって、叩くぅ~♪」というコンセプトで、過去50年くらいアマチュアを煽ってきました。今もゴルフ媒体は「飛ぶ」「飛ばし」「飛ばそう」のオンパレードです。

ゴルフギアや関連グッズなどに、「飛ぶ」の文字を入れておけば、売れたのです。なんで飛ばそう思想が生まれたのでしょうか? それは「うまくなる」「シングルになる」という表現だと、さすがにうそ臭いと感じるからです。「飛ぶ」表現は、100回中100回飛ぶとは、保証していません。100回打って2~3回飛んでも、表現に偽りはないのです。

「シングルになれないけど、飛ぶなら、やってみようか」。アマチュアゴルファーは、「飛ばす」という共同幻想に乗っかったのです。おかげでゴルフギアや雑誌がどんどん売れました。それが右肩上がりのゴルフ経済だったのです。ところが、リーマンショック以降、「飛ばす」呪文の神通力に陰りが見え始めてきます。

ショックなニュースは、タイガー・ウッズが腰痛で4度目の手術をしたとか、石川遼選手も腰痛の持病を抱えていることです。スーパーショットを披露してくれた有名選手が、練習のやり過ぎなのか、体を壊している。これは、いったい何でしょう。

振り返れば、熟年アマチュアゴルファーで、けがや病気をしている人の実に多いこと。ぎっくり腰に始まり、腰痛、膝痛、肋間神経痛、捻挫、腱鞘炎などキリがありません。ゴルフのやり過ぎ、練習のし過ぎって体に悪いのではないか? そうなんです、悪いのです。

そもそもスポーツそのものが、ラグビーや柔道など、けがが多い傾向にあります。その中で、比較的けがが少ないスポーツに属するのがゴルフですが、ひとつ盲点がありました。それは、生涯スポーツとして興ずる年数が、ほかのスポーツに比べて長いのです。25歳くらいから覚えて、75歳くらいまで、実に50年もやるわけですから、そりゃ、いろんな部分が故障しますわな。

しかも、飛距離絶対主義で洗脳されていた世代、すなわちゴルフ雑誌を一番読む世代は、すでに皆さん50歳以上、平均60歳とも言われています。すでに還暦、ロートルの体に鞭打って、いまだ「飛ばせ!」って言われても、体がついていかないです。

今さら、有名レッスンプロが教える飛ばし理論といっても、ヘッドスピード37m/秒ですから、限界があります。そこのところは、売る側もだんだん分かってきて、飛ばし理論やドリルよりも、一切の努力なしで飛ばす、「高反発クラブ」の販売にシフトを変えるようになりました。それはそれで、間違ってないと思いますけど。

それでは具体的に、どう頭を切り替えればいいでしょうか。まず、ゴルフの醍醐味を「飛ばす」から「ボールをコントロールする」に変えましょう。

ゴルフをやってて何が楽しいか?と聞かれて、若い人は「ドライバーがすごく飛んだ」になりますが、ベテランになってくると「イメージ通りのショットが打てた」となります。最終的に、スコアに結びつくのは後者です。アマチュアゴルファーの最盛期は、50代といわれています。つまり飛距離が衰え始めながらも、ボールコントロールに長けているから、年間平均スコアのベストを迎えることができるのです。

それでは、ボールをコントロールするラウンドは、具体的にどう楽しめばいいでしょうか?

それはまず、パー4なら2回ナイスショットして、グリーンに届かないコースで、ラウンドしない。そういうことです。

いろいろ、お付き合いもありますから、「そのコース長いからちょっと」とは、言いづらいですよね。たまにある長いホールは、大人の分別として我慢して、刻んで打つしかありません。

ただ、あまり長いホールばっかり続く場合や、あるいは、最近体の調子が悪くて飛ばなくなったという方は、皆さんがレギュラーティで打つけれど、自分は「シニアティ」あるいは「レディースティ」で打つと言ってもいいと思うのです。もちろん、シニアに達していない年齢でも、女性でなくても、それは一向に構いません。

4人のラウンドで、ひとりだけ別なティで打つことは許されるのでしょうか? それは大丈夫です。だって、実際に女性がパーティに加われば、ひとりだけ女子ティで打っているではないですか。

年末に行われる「日立3ツアーズ選手権」は、男子プロ、シニア、女子プロと3つのティに分かれて、同じコースをラウンドします。別に不思議なことではないのです。ただ、今までそうする人がいなかったから、カートの移動が面倒くさいから、誰もやらなかったのです。

あと、スコアを競ってゲームをしますよね。その時、ひとりだけティが短いところで打つのは不公平だという人がいます。平等の原則に欠けるというのです。でも、「誰でもパーオンを狙える権利を、有する」ことが、平等な考えじゃないですか。普通に打って、グリーンに届かない距離でラウンドさせることが、ゴルフハラスメント、すなわち「ゴルハラ」ですよ。

ほかの人より前で打つ場合は、スコアカードにコースレートが書いてありますから、それを参考にすればいいのです。例えばレギュラーティならコースレート70で、シニアティは68とか。その場合は、2打のハンディキャップがあるということで、計算してスコアを競うゲームに参加すればいいのです。

ゴルフって刻んだり、前のティで打つと「男じゃないな~」と言われますが、それは相手側の作戦ですから、乗らないように。ゴーイング・マイ・ウェーで、短いティで打ち、どんどん刻みましょう。ゴルフは「上がってなんぼ」です。決着は、あくまでスコアで決めましょう。

木村和久

木村和久

時代を読み解くコラムニスト、デイトレーダー、日本文藝家協会会員。夕刊フジ株1グ ランプリ月間優勝2回。 近著は「89ビジョン」(集英社)連載は「月刊ゴルフダイジェスト」「スポルティーバ 」 「夕刊フジ」(月曜)、「日刊スパ」「ポストセブンネット」「ゴルフコミック」など 。

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