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July 12 2017 By 木村和久

ゴルフの未来図~今期引退の宮里藍選手から学んだこと

宮里藍選手が、今期をもって引退することとなりました。誕生日が私と同じ6月19日生まれということで、親しみを持って応援していたのですが、非常に残念です。ちなみに兄貴の宮里優作選手も同じ6月19日生まれ。同じ星のもとで生まれた兄妹ですから、優作選手が代わりにチャンピオン街道を邁進してくれることでしょう。

宮里藍選手は、小柄ながら世界ランキング1位という、日本人初の快挙を成し遂げました。それは研ぎ澄まされたショットの正確性や、アプローチの精度、そしてスーパーパターが噛み合っての、世界一だったと思います。つまり、大柄な外国人選手に比べて飛距離で劣る部分を、ショートゲームで補っていました。けど、ショートゲームの冴えほど、ベストコンディションを維持するのが難しい。手先の微妙なタッチが噛み合わなくなると、なかなかスコアメイクに繋がらなくなるのです。

そして最近、タイガー・ウッズ選手の逮捕という、悲しいニュースが流れてきました。幸い薬物や飲酒運転ではないようで、すぐ釈放されてホッとしています。でも、プロアスリートとしては最悪の状態で、現役復帰はかなり難しいです。天才の名をほしいままにした、タイガー・ウッズでさえ、プロゴルファーのテンションを維持するのは容易ではないのです。あの石川遼選手ですら、腰痛で悩んでいると聞きますからびっくりです。年齢的には、今からって時でしょう。

このように、さまざまなゴルファーの生きざまを見てきて、今後、世界トップクラスの選手の育成をどうするかについて、いろいろ考えたいです。

①早熟化

最近のスポーツ選手は、10代で花が開く傾向にあります。その分、ピークを迎える年齢も早くなると思います。だから、ゴルフはシニア競技があるとはいえ、10代でデビュー、20代でピーク、30代で衰えて中休み。50代でシニア復活という図式が描かれつつあります。冷静に考えると、宮里藍選手の引退も、今のアスリートの流れに沿っているのかなと。一方、早熟化の波は止まらず、卓球は、国際試合などのメジャーデビューが、中学生という時代に突入しました。将棋も中学生のプロ騎士、藤井聡太四段の登場で、大いに盛り上がっています。ジャンルは違えど、大きな流れでは、どれもが早熟化の一途を辿っているのです。そういえば、宮里藍選手も、JKすなわち女子高生で、ツアー優勝をしてプロ入りしたんですよね。ゴルフは体格的な成長も必要なスポーツですが、中学生でプロのトーナメントに出るぐらいじゃないと、世界は狙えませんね。石川遼&宮里藍の高校生コンビの優勝が懐かしい。後が続かないのが残念です。じゃあ、どうすればいいか。

②ゴルフ虎の穴(育成所)を作る

ゴルフ選手の育成は、いろんなルートがあり過ぎて、逆に自由過ぎるのが弱点になっているのかもしれません。卓球選手の著しい成長は、オリンピック強化選手になって、合宿して毎日卓球漬けになっているからです。JOCエリートアカデミーでもなんでもいい。ゴルフも世界クラスの選手を育成するなら、中学生から6年ぐらい合宿して全部面倒を見てもらった方がいいのです。これ以上伸びないのは、高校や大学の部活に頼っているからだと思います。もちろん東北福祉大学など、有名選手を輩出する強豪校もありますが。個人的な持論ですが、野球はチームプレーだから部活でもいいけど、ゴルフは個人プレーだから、部活はいらないと思います。むしろ、先輩とか後輩とか、人間関係が無駄です。今はお笑いの世界でも、吉本興業をはじめ、養成所を開設して合理的に新人の育成をしていますよね。「徒弟制度」「弟子入り」「付き人」などは古いシステムで、弊害も多いのです。現在は、お笑いもスポーツも、有能な先生&コーチの指導のもと、技術向上を目指す傾向になっています。マジでどこかの組織で、「ゴルフ虎の穴(育成所)」を作り、世界クラスの選手をどんどん育成してほしいです。

③大型化

宮里藍選手の頑張りは大いに称賛すべきですが、やはり長期にわたりトップの成績を残すとなると、もうちょっと立派な体格が欲しい。松山英樹選手の活躍は、立派な体格から打ち出される、あのアイアンの切れでしょう。ドライバーはもちろんですが、アイアンで打った高いボールが、グリーンめがけてドスンと落ちて、ぴたりと止まる。シビれますね。今後は、子供の頃からプロゴルファーを目指すなら、小学校から合宿させて、管理栄養士、インストラクターの指導のもと、体が大きくなる食事と運動をさせるしかありません。毎日牛乳を飲んで、ちゃんこでも食べますか。相撲の世界のちゃんこを食べて、体をでかくさせるシステムは、多少見習うべきかと思います。あそこまで太る必要はありませんが、体格向上は必要です。身長は遺伝的な要素もありますが、筋力は後天的にいろいろつけられます。簡単に300ヤードのドライバーショットができれば、逆に無理して体を壊すスイングをする必要がないのです。立派な体こそが、選手寿命を長くさせるんじゃないですかね。

④階級制の導入?

以前から不思議に思っていたのは、相撲は階級がないですよね。新弟子検査で、体重と身長が規定以上なら合格になります。実質「無差別級」の戦いをしているなと。一方、柔道は細かく体重別に分かれています。柔道ってそもそも、「柔能く剛を制す」という考えで、小柄な選手が大柄な選手を投げ飛ばすから、柔道であると教わってきましたが、限度があるってことですね。そこで、ゴルフでも考えました。ゴルフに階級制を導入したら?というアイデアです。ばか言ってるんじゃないよ、ゴルフは同じコースをみんなで回るからいいんじゃないか、とお叱りの声が聞こえてきそうですが。でも、実質階級制でやっているトーナメントがあるんですよ。それがシニアツアーです。50歳以上の選手のみが参加する時点で、すでに飛距離はあまり出ないと想定されているのです。男子ツアーが7000ヤード級なら、シニアツアーは、6700ヤード前後の距離で試合をしていますから。そう考えたら、女子なら体重50キロ以下級にして、軽い選手ばかり集めたらいいんじゃないですか。これは、やたらふくよかな飛ばし屋は、体重が50キロ以上なので参加できません。結果、小柄でかわいい選手か、長身でスタイルのいい選手ばかりが集まって、盛り上がるかもしれません。これはいい! ただね、体重50キロ以上が集まった、女子の大会を見るのがちょっと怖い。すごい豪傑がたくさんいそうで。う~ん、階級制トーナメントの実施は無理があるのかな~。今後、みなさんでいろいろ考えましょう。

宮里効果アップ

岡村治栄

木村和久

木村和久

時代を読み解くコラムニスト、デイトレーダー、日本文藝家協会会員。夕刊フジ株1グ ランプリ月間優勝2回。 近著は「89ビジョン」(集英社)連載は「月刊ゴルフダイジェスト」「スポルティーバ 」 「夕刊フジ」(月曜)、「日刊スパ」「ポストセブンネット」「ゴルフコミック」など 。

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