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March 30 2018 By TheBORDERLESS

43年会と45年会のラガーマンが交流 〜Doスポーツの盛り上がりを関西から〜

43年会と45年会のラガーマンが交流

2021年、「ワールドマスターズゲームズ」が日本へやって来る。

オリンピック・パラリンピックと同じく4年に一度開催されているワールドマスターズゲームズは、生涯スポーツにおける世界最高峰の国際総合競技大会として知られ、2017年に第9回大会が行われたオークランド(ニュージーランド)からバトンを受け取った日本の関西が、アジア圏初の開催地として選ばれた。

日本では2019年のラグビーワールドカップを皮切りに、2020年のオリンピック・パラリンピック、そして2021年のワールドマスターズゲームズと3年連続で大規模な国際大会が開催されることからスポーツへの関心が高まっており、歴史的な「ゴールデン・スポーツ・イヤーズ」とも呼ぶべきこの3年を締めくくる関西ワールドマスターズゲームズ 2021は、第10回という節目であること、そして一都市でなく「関西」という広いエリアが開催地となる史上初の試みであることからも世界の注目を集めている。

ワールドマスターズゲームズ最大の特徴は、おおむね30歳以上であれば誰でも参加できるというスタンスにある。

オリンピック・パラリンピックやワールドカップが観て楽しむ“Seeスポーツ”であるのに対し、世界のスポーツ愛好者が集い楽しむワールドマスターズゲームズは、“Doスポーツ”の祭典とも呼べるイベントだ。

2021年5月15日から30日までの16日間、32競技55種目のプログラムが行われる関西ワールドマスターズゲームズ 2021には、年齢以外の競技資格や選抜基準がないばかりか予選もない。ルールを覚えたばかりのビギナーから元プロ選手や元オリンピック選手まで、キャリアを問わず出場できる門戸の広さも大きな魅力と言える。

そんなワールドマスターズゲームズに、熱い視線を向ける男たちがいる。

昭和43年生まれのラガーマンで結成された「43年会」のメンバーだ。

かつて日本代表として戦った有名なプレーヤーがいるかと思えば、長年ラグビーに憧れていた未経験者もいる。若き日にチームメイトやライバルとして見知った顔も、SNSを通じての呼びかけに反応した初対面の顔もある。

卒業以来、まったくボールを触っていないというメンバーも少なくはない。

43年会と45年会のラガーマンが交流

そんな彼らを結び付けた「43年会」発起人のひとり、谷口順一さんが話す。

「きっかけは、ラグビー日本代表監督だった平尾誠二さんが亡くなったことでした。平尾さんを慕う人が集まる感謝の会で、元日本代表選手の中村直人や吉田義人、堀越正巳といった、自分と同じ43年生まれのラガーマンたちと再会したんです。

43年に生まれた我々の学生時代は、ラグビー全盛期だったこともあって顔見知りが多く、一緒に酒を飲みながら、ラグビーとの出会いに感謝している同年代の仲間で集まりたいと話し、『43年会』を立ち上げました。

自分たちは平尾さんのようにはなれないし、決して大きなことはできないけれど、2019年のラグビーワールドカップや2021年のワールドマスターズゲームズが開催されるホスト国・日本のラガーマンとして、機運の盛り上げに協力したいと思っています」

 

「平尾誠二の遺志を受け継ぐ」って、どういうこと? 逝去した「ミスターラグビー」の歴史。

1997年2月、ラグビーの日本代表監督に就任し記者会見で抱負を語る平尾誠二氏=東京都内のホテル

1997年2月、ラグビーの日本代表監督に就任し記者会見で抱負を語る平尾誠二氏=東京都内のホテル

 

学生時代にプレイしていたラグビーの楽しさが忘れられない、ラグビーに感謝したい、ラグビーを愛し続けたいという熱い思いが、彼らを“Doスポーツ”へと導いた。

だがラグビーは1チーム15人と人数が多く、気軽に練習や試合ができるグラウンドが少ないなど、数あるスポーツの中でもハードルが低い競技とは言い難い。

「ラグビーの普及発展を願っているから、『43年会』は精力的に活動していきたい。しかし、ラグビーをプレイできる場所が少ないのは悩みどころで、グラウンドを貸していただけるスポーツ施設や企業、学校が増えてくれることを期待しています。

知り合いのつてがなくても簡単に申し込み手続きができるポータルサイトが整備されたら、ラグビーだけでなく、日本の“Doスポーツ”はもっと盛り上がると思います」

43年会と45年会のラガーマンが交流43年会と45年会のラガーマンが交流

2月7日、京都市内にある島津製作所三条工場北グラウンドでは、「43年会」として初のラグビーイベントが行われた。発足から約1年、2度の会合で酒を酌み交わしながら親睦を深め、いよいよボールに触れる時が来た。

昭和45年生まれのメンバーで構成される「45年会」との交流会として、74人が合同トレーニングやミニ対抗戦で汗を流す。

43年会と45年会のラガーマンが交流

グラウンドには、1999年ラグビーワールドカップ・ウェールズ大会に日本代表として出場し、引退後には指導者としても活動した中村直人さんの姿もあった。

オークランドで開催されたワールドマスターズゲームズをテレビで観ながら現役時代を思い出し、もう一度グラウンドに立ちたいと思ったという。

「今回、顔を合わせているメンバーはほとんど初対面ですが、大学でやっていたとか小学校でやっていたとかキャリアは気にせず、心からラグビーを楽しみたいですね。練習はまだ1回目だけど、ワールドマスターズゲームズ出場をひとつの目標に設定して、こういう機会を重ねていきたい。

ボクにとってラグビーは人生そのものですから、少しでもラグビーの盛り上げに協力したいと思っています」

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泉野宣行さんは中学でラグビーを始め、大学や社会人リーグを経て、40歳くらいまでプレイしたというラガーマン。指導者としての経験も持つなど、「43年会」メンバーの中ではブランクが短く、身体の動きも軽やかだ。“Doスポーツ”についての意識も高い。

「『43年会』はバリバリにやっていた選手ばかりでなく、ラグビーを観戦するのが好きという人もいます。ゆっくり段階を踏みながらやっていけば、初心者でもラグビーを楽しむことはできますよ。40歳くらいから始める人もいるくらいですから。

2021年のワールドマスターズゲームズには、できることならプレーヤーとして関わりたいと思っています。高校時代、ニュージーランド代表チームと対戦したことがあるんですが、その時の選手と再会し、試合してみたいという夢も持っています。向こうにはその後、オールブラックスに入団した選手もいるくらいレベルが高いですけどね(笑)」

43年会と45年会のラガーマンが交流

230人が在籍する個性豊かな「43年会」の中でも、山本智久さんはラグビー未経験という変わり種のメンバーだ。

「谷口や中村は大学の同期だけど、ボクはラグビー部員ではなく一般の学生で、ラグビーの試合は見ていたけど、中村直人はテレビのCMにも出ている有名な選手という感覚でした(笑)。しかし中村が現役を引退して中学・高校で指導をしていた時、ボクの息子がラグビー部でお世話になったんです。大学時代に話をしたことがない中村とは父母会で会うようになり、よく酒を飲むようになりました。

『43年会』に誘われたのも酒の席で、一緒にワールドカップを盛り上げようと言われました。ラグビーはやっていなかったけど好きだから、参加することを決めました。

一緒にプレイはできないけれど、何らかの形でサポートしたいと思っています」

43年会と45年会のラガーマンが交流

「43年会」よりも早く結成し、この日合同でイベントを開催した「45年会」の横山勝吾さんにも話を聞いた。

26歳で現役を退いて以降、長らくラグビーとの縁は切れていたが、大阪への転勤を機に若い頃のラグビー仲間と再会。単身赴任している現在、メンバーと親睦を深めることがいちばんの楽しみだという。

「ラグビーをやっていた。ただそれだけで絆が生まれるんです。身体をぶつけ合うラグビーだからこそ、他のスポーツよりそうした感覚が強いのかもしれません。必死になって戦った相手に敬意を払い、多少ハードなプレイがあったとしても、絶対に後をひかない。カッコいい言い方になるけど、しっかり『ノーサイド』になる。

いま感じているのは、この年になって仲間と集まるのはいいものだということ。こうしてオヤジになって、ラグビーをやるのもいい。自分にとって、ラグビーは『思い出作り』ですからね。

『45年会』でも、ワールドマスターズゲームズに出場したいという話題は出ています。海外のチームと戦うことにも憧れています」

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応援に駆け付けた家族の中に、若い女性の姿を見つけた。彼女たちは大学生と中学生だが、ラグビーが好きでチームにも所属しているという“Doスポーツ”派だ。

「ラグビーは男性のスポーツというイメージが強いけど、女性でも十分楽しむことができます。ラグビーの魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたい」

「見るのも楽しいけど、実際にやるとさらに面白くなります」

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ストレッチから対抗戦終了まで2時間半、久しぶりに全力で駆け回り、たっぷりと汗を流した男たちが向かったのは京都市内にあるレストラン。

中村さんによる乾杯の発声で、交流試合を行った「43年会」「45年会」のアフターマッチファクションが幕を開けた。

試合が終われば「ノーサイド」。

敵味方の壁を超えたこうした交流もラグビーの醍醐味であると参加メンバーが口を揃える。

43年会と45年会のラガーマンが交流

まず一歩。

ワールドマスターズゲームズ出場を目指す男たちの道が、いま静かに踏み出された。

43年会と45年会のラガーマンが交流

取材/撮影:干場 将信

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