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August 13 2018 By TheBORDERLESS

終夜エアコンOK! 夏の快眠対策

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今年は連日の猛暑で夜になっても気温が下がらず、なかなか寝付けないという人は多いのではないでしょうか。また、寝付くことはできても、途中に何度も寝苦しさで起きてしまう人もいるでしょう。このような日が何日も続き、睡眠不足になると、日中に眠気を感じたり、気分が落ち込んでしまい、仕事や家事の作業効率も低下します。もちろん、運動パフォーマンスにも影響が出ます。今回は、夏の蒸し暑さに負けずに質のよい睡眠をとる方法を紹介します。

夏の快適睡眠

今年は連日の猛暑で夜になっても気温が下がらず、なかなか寝付けないという人は多いのではないでしょうか。また、寝付くことはできても、途中に何度も寝苦しさで起きてしまう人もいるでしょう。このような日が何日も続き、睡眠不足になると、日中に眠気を感じたり、気分が落ち込んでしまったりして、仕事や家事の作業効率も低下します。もちろん、運動パフォーマンスにも影響が出ます。今回は、夏の蒸し暑さに負けずに質の良い睡眠をとる方法を紹介します。

そもそも質の良い睡眠とは?

睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、ノンレム睡眠は、眠りの深さの指標である徐波という脳波の出現量によって、さらに3段階(ステージN1~N3)に分類されます。ステージN3は、徐波を多く含むことから徐波睡眠、また眠りが深いことから深睡眠とも呼ばれます。

深睡眠中は、脳の疲労回復や免疫機能の増強、成長ホルモンの分泌により筋タンパク合成や代謝調整が促進されるので、一般的に体の疲労回復の役割を果たすのは、この深睡眠と考えられます。

一方、夢を見る睡眠として知られるレム睡眠もまた深睡眠とは別の形で疲労回復に貢献しています。レム睡眠は情動処理機能と関係し、正常な精神状態を維持する、つまり、精神面の疲労回復の役割を担っているのです。このように、レム睡眠とノンレム睡眠(深睡眠)はそれぞれ異なる機能を持った睡眠で、どちらも心身の回復には非常に重要です。そのため、質のよい睡眠とは、深睡眠とレム睡眠の両方がバランスよく含まれている睡眠と考えることができるでしょう。

質の良い睡眠を得るためには、まずは十分に寝ることが大切です。アメリカ国立睡眠財団によると、18~64歳の成人では一日に推奨される睡眠時間は7~9時間とされています。また、深睡眠とレム睡眠は、睡眠中の主要な出現時間帯が異なり、深睡眠は入眠直後、レム睡眠は朝方に多く出現するという特徴があります。寝る時間が深夜2時、3時と遅くなると、深睡眠とレム睡眠の出現が拮抗してしまうため、適切な時間帯に眠ることも、質のよい睡眠のためには必要です。日が変わる前には就床できると良いでしょう。

深睡眠とレム睡眠の違い

深睡眠とレム睡眠の違い

徐波睡眠(身体の疲労回復)
●脳の疲労回復
●成長ホルモンの分泌(タンパク質合成の促進、代謝調整)
●免疫機能の増強

レム睡眠(心の疲労回復)
●情動処理機能の調整・強化(正常な精神状態の維持)
●記憶や情報処理活動の強化
●夢見体験

睡眠と体温の関係

質のよい睡眠を得るためには、適切な睡眠時間帯に十分な睡眠時間をとることが重要であることは述べましたが、暑熱環境下ではそれが妨げられることがあります。

睡眠は体温と密接な関係にあり、体の深部体温が低下すると眠気がおとずれ、入眠が促進されます。深部体温は日中上昇し、夜8時頃にピークをむかえ、就床するタイミングで下がりはじめます。このとき、一方で手足の皮膚温は上昇し、皮膚表面から熱を逃がす(熱放散)ことで、効率的に深部体温の低下を促します。しかし、夏の熱帯夜のような気温も湿度も高すぎると熱放散がうまくいかず、なかなか寝付けないということが起きるのです。

また、高温多湿である室温35度湿度75%で裸体の状態で睡眠した場合、35度50%、29度(暑くもなく寒くもない温度)50%、29度75%での条件と比べて、深睡眠とレム睡眠が減少し、覚醒が増加するという研究報告があります。この研究では、同じ室温であっても湿度が高い方がより暑く、不快感を抱いていることから、寝室の室温に加えて、湿度をコントロールすることも質の良い睡眠をとるコツと考えられるでしょう。

夏の蒸し暑さから睡眠を守るために

夏の蒸し暑い夜の最良の対策は、終夜エアコンを使用することです。その際は、エアコンの風が直接体にあたらないようにしましょう。先ほどの実験では被験者は裸体であったため、パジャマを着たり、寝具を利用したりする場合、エアコンの設定は27、28度くらいで丁度よいと考えられます。室温が冷えすぎると自律神経の機能の低下や体温が下がりすぎることで起床時にだるさが生じる場合があるので注意が必要です。

経済的な面で寝入りだけ、または明け方だけエアコン利用する人もいるでしょう。その場合、どちらが睡眠の質が保てるか比較した実験があります。8時間の睡眠のうち、就床時にはエアコンは入れずに、起床前4時間エアコンを利用した場合では、就床時から体温がなかなか下がらず、深睡眠の出現も少なく、覚醒が多いという結果でした。エアコンが入ってからは覚醒時間も減り体温も下がりましたが、起床時の体温も低いままでした。一方、就床から4時間エアコンを利用した場合は、深睡眠もしっかりとれ、エアコンが消えた朝方の覚醒は多かったものの全体では眠れているという結果でした。

このことから、夜間の一部でエアコンを利用する場合は、就床時にエアコンをつけ、切タイマー機能を利用して途中で切れる設定にしておくと良いでしょう。さらに、頭部を冷却することで睡眠が改善されることが分かっています。

近年の研究では、室温32度湿度80%の高温多湿の中で、普通に寝た場合と比べて、冷却枕を使用して寝た場合では体温の低下が促され、身体全体の発汗量も減少したことが報告されています。全くエアコンを使用できないときは、発熱時に使用する氷枕を用いるのも一つの方法でしょう。

飲みすぎにも注意

夏は暑さに伴い水分摂取の機会が増えます。熱中症にならないために必要なことですが、水分の取りすぎは夜中にトイレに目覚める回数が増える原因にもなります。また、カフェインの入った飲み物の場合には覚醒度があがり入眠を妨げることにもつながるので、寝る前には水や麦茶などカフェインの入っていない飲料を選ぶことも大切です。

また、夏といえばビールが美味しい季節ですが、こちらも飲みすぎには注意しましょう。アルコールは脳機能に抑制的に作用します。そのため、アルコールを飲んだときはすぐに眠りに落ちることができます。

さらに、入眠直後の深睡眠の増加、レム睡眠の減少を引き起こし入眠には促進的に働きますが、アルコールが体内で分解されアセトアルデヒドが発生する睡眠後半では、ノンレム睡眠の浅い睡眠時間の増加、中途覚醒の増加を引き起こし、睡眠を妨げることになります。アルコールの入眠促進作用も3日程度で耐性が形成されて効果が得られなくなってしまうので、もしお酒の力で眠りについている人がいれば別の方法を考えましょう。

以上に注意し、自分にあった夏の快適睡眠法をそれぞれ考えてみてください。

 


<守田優子(もりた・ゆうこ)>

2008年、早稲田大学スポーツ科学部卒業。女子ソフトボール部に所属し、3年時にはインカレ優勝。13年、同大学大学院スポーツ科学研究科博士課程修了。東京医科大学睡眠学講座を経て、16年4月から東京理科大学理工学部教養 助教。専門分野はスポーツ精神神経科学、睡眠学、スポーツ心理学。 特に、運動学習における睡眠の効果、運動と睡眠健康。著書に『睡眠大事典―究極の休養睡眠を科学する!』(ベースボール・マガジン社)、『スポーツ精神医学 改定第2版『身体運動、競技能力と睡眠』(日本スポーツ精神医学会)※2018年11月発行予定。

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The BORDERLESS(ザ・ボーダレス)編集部です。

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