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August 09 2018 By TheBORDERLESS

「暑さ指数(WBGT)」を知って猛暑対策

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気温の高い環境でスポーツを行うときは脱水や熱中症に注意が必要です。特にスポーツ選手は身体を動かしている時間が長く、汗をかいて水分やミネラル分がどんどん体内から失われていきます。運動前後や運動中にはこまめに水分・ミネラル分補給を行い、失われたものを補うことをまず心がけましょう。同時に、運動を行う前には、脱水や熱中症になりやすい天候かどうかを事前に確認しておくことも大切です。

熱中症対策の指標となる暑さ指数(WBGT)

朝起きたときに天気予報を確認し、気温によって熱中症への対策を意識している人も多いと思いますが、最近では暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)を1つの目安とすることが推奨されています。

WBGTは人間の温度調節に影響が大きいとされる「気温」「湿度」「輻射熱(ふくしゃねつ)」の3つを取り入れた指標です(輻射熱とは地面や建物・身体から出る熱のことで、温度が高いものほど多く発生します)。

WBGTの値は次のような計算式で求められます。

【屋外で日射しのある場合】

WBGT(℃)=0.7×湿球温度(湿度)+0.2×黒球温度(輻射熱)+0.1×乾球温度(気温) 

【屋内及び屋外で曇っている場合】

WBGT(℃)=0.7×湿球温度(湿度)+0.3×黒球温度(輻射熱)

※実際にはこれら3要素のほかに、風通しのよさも指標に影響します。

暑さ指数は気温と同じく「℃」で表示され、28℃を超える場合は熱中症になりやすい環境になっているという判断ができます。

この計算式を見ると気温よりも湿度のほうがより熱中症との関連が深いと考えられます。湿度が高い環境では汗が蒸発しくいため、身体に熱がこもりやすくなってしまうためです。夏の暑い時期だけではなく、気温がさほど高くない環境でも「湿度が高い=蒸し暑さ」を感じるときは熱中症を起こすリスクが高くなると覚えておきましょう。

一方、風通しのよい環境下では湿度は下がりやすく、汗も蒸発しやすくなるため、スポーツを行うときはこうした風通しのよさも念頭においておくとよいでしょう。

※ちなみに通常の天気予報で発表される気温は一定の気流のもと、日陰で測定されています。

運動時の目安となるWBGT

運動を行うと体温が上昇して発汗し、体温調節を行います。この体温調節がうまく働かなくなると熱中症を起こすリスクが高まります。練習前には気温だけではなく、ぜひWBGTも併せてチェックしておきましょう。屋外だけではなく、屋内で活動する場合においても目安となります。

運動時の目安となるWBGTは、以下の通りです。

・31℃以上…特別な場合をのぞき、運動は原則中止を推奨する。特に子どもの場合は運動中止を強く推奨。

・28~31℃…厳重警戒し、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。こまめな水分・塩分補給を行う。体力レベルの低い人、暑さに慣れていない人は運動を避ける。

・25~28℃…十分に警戒し、積極的に休憩をとること。激しい運動を行う場合は30分を目安として休憩をとる。

・21~25℃…注意し、積極的に水分補給を行う。WBGT21℃以上では、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。

・21℃未満…ほぼ安全な環境だが、運動時の水分・塩分補給は必ず行うこと。

環境省 熱中症予防情報サイトより

環境省 熱中症予防情報サイトより

WBGTが高い場合は熱中症予防のための対策をとるようにしましょう。具体的にはこまめな水分・ミネラル分の補給、長時間継続した運動は避け、途中で休憩をとること、不必要に日射しのもとで過ごさないこと(休憩中は日陰で過ごす)、帽子を着用し、通気性のよいウエアで活動することなどが挙げられます。

WBGTをチェックしよう

最近ではWBGTを測定する熱中症指標計があります。本格的なものであれば7000円程度~、簡易的なものであればそれよりも安価で購入することが可能です。またスマホアプリには「熱中症警戒計」「熱中症予測計」など、今いる場所の温度などを参考に数値を出す無料アプリなどもあります。熱中症指標計に比べると正確性はやや落ちますが、利便性があり、スポーツ現場で簡易的に調べることに向いています。

こうしたものをうまく活用し、スポーツ現場での熱中症予防に役立てましょう。

 


<西村典子(にしむら・のりこ)>
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒業。1994年より約5年間、野球用品メーカー・ゼット株式会社に勤務し、99年4月退社。同年5月より東海大学スポーツ教育センターに勤務し、同時に硬式野球部のサポート活動を開始、2018年2月退任。現在活躍中の菅野智之投手(巨人)、田中広輔選手(広島)をはじめ、関わったプロ野球選手は約30名にのぼる。17年秋から新たに東海大学海洋学部硬式野球部でもトレーナー活動に従事。2006年より、東海大学付属諏訪高校(長野)、慶應義塾湘南藤沢高校(神奈川)のサポート活動、講習会などの講演活動、執筆活動などを行う。

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The BORDERLESS(ザ・ボーダレス)編集部です。

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