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August 21 2018 By 飯塚さき

「食事=犠牲」ではない! 町田也真人(ジェフユナイテッド市原・千葉)

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暑い夏を乗り切るために、ひいてはシーズンを通してベストパフォーマンスを発揮するために、アスリートたちはどのような体調管理をしているのだろうか。ジェフユナイテッド市原・千葉では、昨年就任したフアン・エスナイデル監督の下、チーム改革の一環として、選手たちの食事を抜本的に見直した。そこで、食に関するコンディショニングについて、夏場の体調管理の工夫を含め、副キャプテンを務める町田也真人選手に話をうかがった。

監督の食事改革で変わった食への意識

――夏場のコンディショニングについてうかがう前に、まずは普段の食生活について教えてください。

町田: 朝と昼は、クラブハウスで調理師さんが作ってくれた物を食べています。主食は基本的に、白米ではなく玄米です。白米より栄養価が高いためですが、練習前などは、消化の早さを優先して白米が出ることもあります。

エスナイデル監督は、1日に4食食べることを選手に課しています。これは、空腹でいる時間をなるべく少なくするためです。例えば、19時に夕食をとるとすると、翌朝8時の朝食までに12時間以上あいてしまいます。そうならないために、13時までに昼食をとった後、16時くらいに軽食をとり、夕飯は21時くらいに食べて、翌朝8時の朝食に備えるのです。この食生活は、エスナイデル監督が就任した昨年から始まりました。慣れないうちは、遅い夕食後に消化するまで時間がかかり、寝るのが遅くなってしまっていたのですが、最近は慣れてきました。

16時の軽食まではクラブハウスで出してもらうのですが、夕食は各々でとるので、そこは選手たちの自己管理が問われるところです。家では、肉や魚、野菜などをバランスよくとれるように、妻が考えて夕食を作ってくれています。

――バランス良く食べることは基本だと思いますが、好き嫌いはありますか?

町田: キノコ類が苦手ですが、エノキなど、自分の食べられそうな物をうまく調理してもらい、頑張って食べるようにしています。昔は焼き肉が大好きだったけれど、最近は魚や鶏肉が好きになりました。年齢のせいもあるのかもしれませんが、好みが変わってきたと思います。

――監督の方針で食事を変えてから、具体的にどのような変化がありましたか?

町田: 監督と、栄養や食事についてたくさん話をして、とても大事なことなのだと気づかされました。少しでも長くプレーできるように、何をどう食べたらよいのか、きちんと学ぼうとしています。

今は、ある程度の知識ができてきたので、自分で考えて工夫できるようになりました。例えば、痛みやケガがあるときには、小麦を控えてみるようにしています。もちろん、栄養士さんの専門的なアドバイスを受けながらではありますが、自ら考えるようになったのはとてもよいことだと思っています。

(C)JEFUNITED

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押さえておきたい夏の食事のポイント

――夏場の体調管理について、気をつけていることはありますか?

町田: おなかを壊すことが多く、まずはそれを治したいと考えていました。特に夏場には、おなかを冷やすような食べ物・飲み物を避けています。練習中は、どうしても冷たいものを飲みたくなりますが、おなかにも消化・吸収にも良くないので、常温に近い温度のものを飲んでいます。基本的には、水とスポーツドリンク。また、練習後には必ずオレンジとグレープフルーツが出され、すぐに食べられるようにしてもらっています。

夏は物を食べられなくなる時期です。体重の減少は最も避けたいことなので、消化・吸収によいものをとることと、食事の回数を増やしてこまめに栄養補給することを心がけています。

――練習中の水分補給に関しては、具体的にどのように摂取しているのでしょうか。

町田: 喉が渇いたと感じる前に水を飲むことが重要です。試合の前日からは、特に心がけて飲むようにしています。練習の前と後で体重を測ったときに、数値が変わらないのが理想だといわれますが、それでも1kgは減ってしまいます。飲みすぎても動けなくなってしまうので難しいのですが、そのあたりの調整が今後の課題です。

――そういった工夫と対策によって、実感している効果は何かありますか?

町田: 今まで、夏はバテてしまって全然動けなかったのですが、去年はかなり動けました。普段、試合は週末のみですが、稀に水曜日にも試合が入ることがあります。体力的にもたないので、そうした連戦は苦手だったのですが、去年は「いけるな」と感じました。
加えて、食事管理を始めてからは、ほとんどおなかを壊していません。こういった変化がなぜ起きているのか。原因は断言できませんが、変えたのは食事なので、影響は大きいと思っています。

大切なのは自分の身体と向き合うこと

――食事の自己管理で大切なポイントはなんでしょうか。

町田: 食べたくないものを食べなくてはいけないときもありますが、それよりも、ストレスなく食べることのほうが大切だといわれます。飽きがきて食べられないときもあるけれど、そういうときは栄養士さんと相談し、代わりに食べられそうなものを探して食べています。昔は「食べたくない」と感じることがありましたが、最近はほとんど感じなくなりました。食に関してストレスを感じていないことが大きな要因だと思います。

――ストレスフリーな食生活を送るためには、どうしたらよいのでしょうか。

町田: 自分に合う食材・合わない食材が必ずあります。僕は、乳製品が合いません。身体は正直に反応するので、たまに食べるとやっぱりダメなのだと気づかされます。そうして自分の身体と向き合い、自分のことをよく知ることが大切だと感じます。

――シーズンを通して万全の体調でプレーに臨むために、心身に負担のない食生活は必須だといえますね。スポーツを楽しむ方々に対して、町田選手からアドバイスをお願いします。

町田: 何かを楽しむときには何かを犠牲にしなくてはならないと思われがちですが、食事を「犠牲」と思うことなく過ごすことができたらベストですよね。だからこそ、まずは思考を変える努力が必要です。

僕の場合、昔は食べたいと思っていた油っぽい焼き肉よりも、今はタンパク質の豊富な鶏肉を食べたいと思うようになりました。努力の先には、自然とよりよいものを欲する自分がいるのです。食べたいものを食べない「我慢」、食べたくないものを頑張って食べる「我慢」ではなく、自分自身のよい変化に気づけたら楽しいし、ひいてはそれが長くスポーツを続けられる要因になります。

ただし、我慢できないときには、「食べたいものを食べる」「食べたくないものを食べない」ことを適度に挟んでもいいと思います。その後にリカバーすれば問題ありません。トップアスリートはもっとストイックに取り組んでいると思うので、自分はまだ足りていないとは思います。しかし、楽しくスポーツをしたい人には、少しでも食事に気をつければ、それが自分のためになること、そして栄養について勉強するのは損ではないことを、知ってもらえたらうれしいです。

(C)JEFUNITED

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<町田也真人(まちだ・やまと)>
1989年、埼玉県生まれ。FC浦和(さいたま市立浦和大里小)、さいたま市立白幡中学校、埼玉栄高校、専修大学卒業。埼玉栄高校3年次には、同校史上初の全国高校サッカー選手権出場。専修大学4年次には、中心選手として関東大学サッカーリーグ戦1部で活躍、全日本大学サッカー選手権優勝を果たした。2012年にジェフユナイテッド市原・千葉に加入。16年には主力に定着し、11得点を挙げチーム得点王となった。17年より背番号を10に変更し、副キャプテンに就任。6得点8アシストの記録を残す。身長166cm、体重59kg。

飯塚さき

飯塚さき

1989年生まれ、さいたま市出身。2008年早稲田実業学校高等部卒業、09~10年シアトル・ワシントン大学留学、12年早稲田大学国際教養学部卒業。美術雑誌社を経て、13年よりベースボール・マガジン社で『Sports Japan』(日本体育協会発行)、『コーチング・クリニック』などの編集を担当。今春より独立し、フリーランスの記者・編集者に。『相撲』(ベースボール・マガジン社)、『大相撲ジャーナル』(報知新聞社)、ウェブマガジン『DEPORTARE』(スポーツ庁)などで執筆中。

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