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November 27 2018 By ゲストライター

流行語候補にも。「eスポーツ」のリアルと可能性を、元アナ・国体担当者・CyberZプランナーが語る。

2018年11月15日。東京都渋谷区で、とあるイベントが開催された。その名も「COMEMO Business Night Out〜eスポーツビジネス その魅力と可能性〜」。主催は日本経済新聞 電子版だ。

登壇者はeスポーツの最先端にいる3人、国体・障害者スポーツ大会局長・石田奈緒子氏(茨城県)、民放からeスポーツ実況アナに転身した平岩康佑氏(ODYSSEY代表)、そしてeスポーツのビジネスシーンを牽引するCyberZの榊原龍介氏。

彼らが現場で感じるリアルとは? その可能性とは?イベント内で行われた熱いトークを様子をレポートする。

高まる注目。CyberZの榊原龍介氏が語るビジネスチャンスとしてのeスポーツ。

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eスポーツのイベントと聞けば、会場はゲーム好きな若者でいっぱい。そんな場面を想像しがちではないだろうか。しかし、この夜は違った。席を埋めていたのは、スーツやジャケット姿の男女。eスポーツはビジネスチャンスとして有望視されつつあるようだ。

イベントは、人気Vtuber富士葵からのビデオメッセージでスタート。富士葵はVtuberながらeスポーツ大会に出場し、優勝経験もある。ビジネスマンとVtuber、まさかの出会い。硬軟おりまぜあらゆる人を巻き込んでいくところに、eスポーツの可能性を予感した。

第一部はCyberZの榊原氏が登壇。ビジネスの現状について解説がなされた。世界的にみて市場は右肩上がり。たとえばドイツのマクドナルドはサッカーへのスポンサーをやめてeスポーツに注力、中国のケンタッキーも似た動きを見せている。世界最大規模の大会では来場者は4万人、賞金総額は27億円。この盛り上がりが出遅れとなるか伸び代となるかは、日本のステークホルダーが今後どう動くかにかかってきそうだ。

そんな中、CyberZは「RAGE」を運営。eスポーツをエンターテイメントとして確立させるべく、オフラインイベントやゲームタイトルごとのリーグ、ゲーム配信に特化したプラットフォーム「OPENREC」など運営している。

榊原氏は日本のeスポーツの可能性として、

  • 「日本ほどのコンテンツ大国はない。それを生かせれば盛り上がりは作れる」
  • 「波は確実に来ている。今ではいろいろな会社から話をいただく。そのくらい注目度は高まっている」
  • 「ゲーム大会に終始しない、eスポーツの文化を作っていきたい」

と熱く語った。

国体でeスポーツ大会、朝日放送からゲーム実況アナへ。時代はもう変わり始めている。

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第二部は、前述のトップランナー3名によるパネルディスカッション。

来年10月「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が、茨城国体の文化プログラム事業として開催される。その担当者である国体・障害者スポーツ大会局長・石田氏は、最近の変化についてこう語る。

「国体のPRをかねてeスポーツにトライすることを決めた時、若手にそれ何?と質問した。しかし一年経っていま自分が当事者となった。それがいちばんの変化だ」 「みんなeスポーツを知っていて、県議会でもトライしてみようという雰囲気。身近になってきた。手応えは感じている」

国体に合わせてeスポーツ大会を開催することになった経緯や反響については

「障害や性別、年齢を超えて、みんなが楽しめる場を作るのが国体の使命だと思っていた。それでeスポーツを候補にあげた。知事も新しい取り組みついて積極的で協力的だった」 「茨城国体のPRになった。電話、書き込みなど反響も多々あった。中にはこれで自分も国体選手、といった声も。行政に興味がない人が目を向けてくれた」

一方で、

「依存症を指摘する声も確かにある。でもすぐには(依存症などに)結びつかないと説明している。行政は反発に丁寧に応えることも大切な役目。批判を受け止めながら、いいところを伸ばしていく」

と語った。

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パネルディスカッションには、元朝日放送アナウンサーで、ゲーム実況アナウンサーに転身した平岩氏も登壇。

「(eスポーツの盛り上がりについて)とても手応えを感じている。バブルと言われるが、そうは思っていない。今は土台作りの時。ゲーム会社が盛り上げているが、これからゲームとは関係のない企業のスポンサードが増えるだろう。その時がバブルではないか」 「しかし、我々の使命は、バブルで終わらせないことだと思っている」
という展望を示した。

史上初の“全員平等スポーツ”になる可能性。「フェアネス」が広がりを加速させるか。

パネルディスカッションでは、このようなデータが示された。

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これはイベントに先立ち、投稿プラットフォームCOMEMOが募った「eスポーツは日本に定着するか?」というアンケートの結果。(11月15日 日経産業新聞にて掲載、AMP編集部でグラフ化。余談だが日経産業新聞はeスポーツの記事を最も多く取り上げている新聞の一つではないだろうか)。定着するがリアルとは一線を画すと予想している人が多い。

登壇者からは

  • 「“スポーツ”という呼称に固執している訳ではない」
  • 「エンターテイメントなので、リアルと違って良いのでは」
  • 「感動がある。それだけで良い。スポーツと呼ぶかどうかはどうでも良い」

という声が聞かれた。
一方で、まったく新しい“スポーツの在り方”に気付かされた場面があった。

石井氏「パソコン部の女子高生が、われら文化部が運動部に挑戦できることがワクワクする、と言っていた。女子と男子でチームを組めて嬉しい、とも。ウイイレを夢中で練習して、サッカー部出身者に勝ったり。スポーツと似た感動がある」

平岩氏「仮にスポーツだとするならば、スポーツ史上初めて全員が平等にできる可能性がある。男女で別れていない。障害者も関係なく、盲目の選手も出場している。ゲームの中なら平等に戦える」「見ている人も競技者と全く同じ環境で練習・挑戦できることも魅力」

榊原氏「大会には毎年、車椅子の方も来場してくれる。でも他の選手と分け隔てなく参加できる。女性も徐々に増えており、RAGEでは垣根がない。ゲームは男子のもの、ではなくなってきている」

今やダイバーシティや共生社会の要請が高まって久しい。その時、テクノロジーが大きな役割を果たすことは言を俟たない。だとするならば、eスポーツはエンターテイメント分野の先鞭になるのでは?というのは考え過ぎだろうか。しかし自由に未来を描けるのもまた、eスポーツの魅力。いまの盛り上がりの先にある、まったく新しいゲームのカタチとは。eスポーツから、しばらく目が話せそうにない。

link:COMEMO

 

ゲストライター

ゲストライター

The BORDERLESS(ザ・ボーダレス)編集部からの依頼で執筆いただいたゲストライターの方です。

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