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November 17 2015 By 佐藤 喬

ロードバイクという乗り物【連載:サイクルロードレースとはなにか?】

ロードバイクという乗り物【連載:サイクルロードレースとはなにか?】

選手たちが乗るのは、「ロードバイク」と呼ばれる、舗装路を高速で走ることに特化した自転車だ。独特の形のハンドルや、細いタイヤが特徴的だから、街中で見たことがある人も多いだろう。

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<写真:Morten Liebach>

 

自動車並みの価格と、片手で持てる軽さ

ロードバイクを持つと、その軽さに驚くはずだ。一般的な「ママチャリ」が20㎏近いのに対し、ロードバイクの重量はわずか7㎏ほどしかない。過度な軽量化による危険を防ぐため、公式レースでは最低重量が6.8㎏と定められているほどだ。もちろん、このルールの外には、5㎏を切るような超軽量ロードバイクも存在する。これほど軽い乗り物は珍しいだろう。

一方で、プロが使うロードバイクは高価でもあり、ハイエンドの価格は200万円近くにもなる。自動車並みだ。しかし上で述べたように重量は極めて軽いから、重量当たりの価格は最新鋭の戦闘機と大して変わらない。

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<写真:Frans Berkelaar>

軽さを追求するのは、少しでも走りを軽くするためだ。人間という非力なエンジンを積むロードバイクは、パワーを無駄にしないよう細心の注意を払って作られる。それは、重量に限った話ではない。

 

抵抗をそぎ落とす

たとえば、空気抵抗もそう。空気抵抗を極限まで減らすために、航空機のような風洞実験を行うメーカーもある。空気抵抗を重視したモデルには、フレームが翼断面状になっているものもある。

タイヤ幅が23㎜~25㎜前後と異様に細いのも無駄を減らすためだ。さらには、路面抵抗を減らすため、空気圧は7~8気圧と極めて高い。タイヤがそんなに細いのだから、路面に接地する幅はせいぜい10㎜程度だろう。ロードバイクは、路面を走るというより、滑っているというべきかもしれない。

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<写真:Sean Rowe>

無駄をそぎ落とすから、自動車やモーターバイクのようにサスペンションもない。しかし乗り手の負担を減らさなければいけないのは他の乗り物と一緒だから、フレームは微妙にしなり、衝撃を吸収するように設計されてもいる。極めてシンプルに見えるロードバイクには、速く・遠くへ走るための工夫が詰め込まれている。

 

7㎏に命を預ける

プロロードレーサーたちは、そんな乗り物にまたがり、通常の自転車では考えられないスピードで走る。峠の下りでは、時速100㎞/hを超えることも珍しくない。彼らはロードバイクに文字通り命を預けて走る。

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<写真:Mikel Ortega>

 

わずか7㎏程度の重量に、人間というエンジンを最大限に生かす工夫を詰め込んだロードバイクは、究極の乗り物のひとつでもある。ハイエンドのものは高価だが、入門モデルならば10万円程度から用意されている。

佐藤 喬

佐藤 喬 Twitter

フリーランスの編集者・ライター。1983年生まれ。2013年よりフリーランスとして活動。書籍やムックの企画立案・ディレクション・編集作業・取材・執筆までをひとりで行う。自転車関連に強い。著書に『エスケープ』(辰巳出版)。

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