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November 26 2015 By 石狩ジュンコ

「野球を好きな気持ちがそのままプレイに表れるのが選手たちの魅力」女子プロ野球に懸ける川端友紀選手の熱い思い

「野球を好きな気持ちがそのままプレイに表れるのが選手たちの魅力」女子プロ野球に懸ける川端友紀選手の熱い思い

初開催となった世界野球WBSCプレミア12が先日閉幕し、日本は激戦の末、第3位という結果を残した。2020年に行われる東京オリンピックでも野球が追加種目候補としてあがっており、野球熱はますます盛り上がりそうだ。しかし、これは男子野球の話。

日本には、女子プロ野球が存在していることをご存じだろうか。ソフトボールではない、女子による野球だ。国内リーグ「JWBL(Japan Women ‘s Baseball League)」は2010年に初年度リーグ開幕戦が始まり、現在は京都フローラ、兵庫ディオーネ、埼玉アストライア、東北レイアの4つのチームによって日々試合が行われている。高校の女子硬式野球部はまだまだ少ない状況の中で、野球をしたい女性たちがプロとして頂点を目指すための場所があるというこの事実は、あまり知られていないかもしれない。

川端友紀選手

写真提供:日本女子プロ野球リーグ

男子同様、女子プロ野球選手は世界でも戦っており、2016年には韓国でWBSC 第7回女子野球ワールドカップが開催されることが決定している。

その日本代表に選考されることも期待されているのが、26歳の川端友紀選手。川端選手は埼玉アストライアのキャプテンとしてチームを引っ張る存在でありながら、首位打者や最多打点などさまざまな個人成績も残している。さらに東京ヤクルトスワローズに所属し、侍ジャパンのメンバーでもある川端慎吾選手は実の兄であり、球界初の兄妹プレイヤーとしてそれぞれが大舞台で活躍しているのだ。今回は川端選手に、女子プロ野球の可能性や男子野球とは違った魅力などについて伺った。

川端友紀選手

川端友紀選手 写真提供:日本女子プロ野球リーグ

――川端選手はソフトボールを長くされていたとお聞きしました。野球に転向されたのは?

川端友紀選手(以下、川端):もともとは小学生の時に、兄と一緒に父が監督をしている硬式野球のチームに入っていました。私ともう一人女の子はいましたが、男の中に混ざって野球をすることと自分の父親が監督ということで、周りからの目線も気になっていたことは少しありました。ですが、大好きな野球だったので楽しくプレイしていたと思います。

ソフトボールを始めたのは中学生からです。当時は今のような女子プロ野球リーグもなかったので、このまま野球を続けていても目指す目標がありませんでした。でもソフトボールであれば、インターハイやオリンピック、実業団という目標がある。そんな理由でソフトボールを始めましたが、どこかで野球をやりたい気持ちもありましたし、「なぜ男子は甲子園やプロ野球があるのに女子にはないんだろう」という気持ちはずっと持っていました。

――野球をしたかったのに環境がなかったというのがソフトボールに転向された経緯なのですね。そこから女子プロ野球選手となったのは?

川端:中学、高校、実業団とソフトボールを続けました。途中で一度ソフトボールから離れたのですが、そのタイミングがちょうど「これから女子プロ野球リーグができる」という時だったんです。その話を聞いた時に「これは運命かもしれない」と思い、女子プロ野球のトライアウトに挑戦して今に至ります。

川端友紀選手

写真提供:日本女子プロ野球リーグ

――ソフトボールと野球は似ているようで全然違うと思います。2つを行き来した中で苦労した点はありましたか。

川端:競技内容やプレイの仕方も全く別物なので、野球からソフトボールに転向した中学生の時はイチから練習し直しました。ボールの大きさや距離感、細かいルールなどは慣れるまで最初は苦労しましたね。また逆にソフトボールから野球に戻したときもそれなりに大変でした。ソフトボールのやり方で野球をすると、ボールも飛ばなかったり肩を壊したりといったこともありますから。

――女の子が野球をする環境についてはまだまだ足りない部分がありますか。

川端:そうですね。小学生の時は男の子と一緒に少年野球に混ざる子は多いと思いますが、特に部活で女子野球部がある中学校は全然ないので、そこがターニングポイントですね。社会人も入っているクラブチームに入って野球を続けるという子もいると思いますが、学校の野球部で男の子の中に入ってやるか、他のスポーツに変更するかといった選択を迫られることが多いと思います。野球部で一緒に練習には混ぜてもらえても、もちろん試合には出られないですし、周りも男の子だらけなので、思ったように野球はできるかと言ったら難しいのが現状です。

ただ高校の女子野球部は増えてきていて、女子プロ野球リーグができる前は全国でたったの5校だったのですが、今では20校以上までになりました。やはり女子プロ野球リーグができたことで野球がしたい女の子たちの目標になっていますし、女子野球人口が増えれば選手全体のレベルアップにもなります。私たちが頑張ることで、これからももっと小中高の女子野球部が増えていくと思います。

川端友紀選手

写真提供:日本女子プロ野球リーグ

――お兄さんの川端慎吾選手も東京ヤクルトスワローズ、日本代表として活躍されていますが、互いに刺激し合ったりアドバイスし合ったりすることはありますか。

川端:すごくありますね。小学生の時はずっと一緒に、家の前でキャッチボールをしたり野球で遊んだりしていたので、それは互いに今に生きていると感じます。今でも年末に一緒に練習したりご飯に行った時に野球の悩みを相談したりして、私は兄から吸収できることは吸収しています。子どもの頃から今でも、兄は一番身近で大きな目標です。

――女子プロ野球選手になった時の家族の反応はどうでしたか。

川端:父は、私に野球をやってほしいと思っていたので応援してくれました。逆に母は、兄の大変さを知っているのですごく不安そうでした。もちろん今ではすごく応援してくれていますが、当時は女子プロ野球リーグもできたばかりでしたし、娘がスポーツをプロとしてやっていくことに心配してくれていたんだと思います。兄は、そんなに大きな反応はしていませんでしたが、心の中ではきっと喜んでくれていたと思います(笑)。

川端友紀選手

写真提供:日本女子プロ野球リーグ

――東京オリンピックでは野球、ソフトボールが追加種目候補になっています。(最終決定は2017年8月)やっぱりオリンピックは意識されますか。

川端:オリンピックは昔からの大きな夢なので意識しますね。ソフトボールに転向したのもオリンピック種目としてあるからでしたし、もちろん女子野球もいつか種目に入ってほしいです。すぐには難しいと思いますが、地道にやっていくしかないのかなと。東京オリンピックでは野球とソフトボールがもし入ったら、例えば前座試合のような形で女子プロ野球が試合をする流れになってほしいです。せっかく東京で開催されますし、何らかの形で少しでも女子プロ野球をアピールできたらいいなと思っています。

――女子プロ野球の試合を球場に観に行くと、試合後に外で選手たちが積極的に握手したりサインしたりと、ファンの方とすごく交流されていますよね。

川端:女子プロ野球の魅力の1つとして、選手との距離が近いというのがあります。試合後に直接選手に感想を言えたり握手やサインもたくさんできたりと、ファンの方々が喜んでくださることはこれからもたくさんしていきたいです。

川端友紀選手

写真提供:日本女子プロ野球リーグ

――音楽マネジメント会社Buzzicさんと連動して、試合の間に音楽のライブや選手が浴衣を着ての夏祭り、チームとのコラボTシャツの販売など、面白いイベントや企画もたくさん行っているそうですね。

川端:去年から、選手が率先して球場の装飾やイベント企画をする機会が増えました。選手同士の日常会話でも、「こないだTVでこんなゲームやっていたから今度のファン感謝祭でやってみようよ」とか「どうしたら球場が楽しい場になるかな」といった会話はよくしています。球場の雰囲気も明るくなっていますし、観客数も少しずつ増えて来ているので、これからももっともっといろいろなことを仕掛けていきたいと思っています。

――川端選手が思う、女子プロ野球の見どころは?

川端:やっぱり女子が野球をする環境はあまりに少なくて続けるのが大変な中で、それでも「野球をやりたい!」という強い思いがある選手ばかりです。不遇の中でも持ち続けた野球への熱さはそのまんまプレイに表れているので、そのひたむきさには注目してほしいです。一本のヒットで本気で喜んだり悔しがったりと、とにかく野球が好きな気持ちが表情に出ています。そういう選手たちの青さや熱さというのは高校野球に近いのかもしれません。

――ありがとうございました。最後に今後の目標を教えてください。

川端:高校野球に似ていると言いましたが、その中でも面白いイベントやファンサービスなどで、女子プロ野球ならではの良さをどんどん出して盛り上げていきたいです。お客さんにはどんな形でも「球場に観に来て良かったな」と思ってもらえるようにしたいです。個人としては、チームのキャプテンなので、言葉ではなく行動で他の選手たちを引っ張っていき、もっともっと記録を残せる選手になりたいと思っています。

川端友紀選手

私服姿の川端友紀選手

■参考リンク

・日本女子プロ野球リーグ公式HP  http://www.jwbl.jp/

・Buzzic              http://buzzic.jp/

(石狩ジュンコ)

石狩ジュンコ

石狩ジュンコ Twitter Blog

フリーライター。89年、山形県生まれ。 女性の生き方、社会問題、カルチャー、インタビュー、翻訳などを執筆中。 好きなものはラジオ、仏教、「スターウォーズ」、「ミナミの帝王」、純喫茶、ブティック。 スポーツ歴は小学校でバスケ、中学校で陸上(中長距離、走り幅跳び)、高校で女子サッカー。

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