TOPへ
July 16 2015 By ゲストライター

「道路でラグビーしようぜ」 世界初、ストリートラグビー大会に日本代表真壁らも参加

いつもの週末なら閑散としているオフィス街。この日、東京駅に近い日本橋八重洲さくら通りだけはスポーツウェアに身を包んだ人たちで賑わっていた。街路樹の茂る車道に人工芝のマットが敷き詰められ、ビジネスパーソンと思しき大人や小学生たちが走り回っている。制服のまま汗を流している女性はカフェ店員のようだ。

7月5日、道路でラグビーをする世界初の「ストリートラグビー」大会が行われていた。この大会に87チームがエントリー。近隣で働いている人たちの職場チームやカフェチーム、キッズたちのチームといろいろな顔ぶれが揃っていた。対戦は大人vs子ども、男女混合チームもいるミックス制だ。

このストリートラグビーはタックルやスクラムがなく、初心者や女性、子どもでも気軽に楽しめる新スポーツだ。子どもたちにもラグビーを楽しんでもらいたいと考案され、中央区ラグビー協会が普及をすすめてきた。そして今回、日本橋を会場に初大会の開催となった。

コートは一般的な道幅と同じ7m。「スタートエリア」とトライする「インゴール」エリアまでの間隔は12mなので20mほどのわずかなスペースがあれば試合ができてしまう。1チーム3人の2チームが攻守を交代しながら対戦する。試合時間は前後半1分ずつ。ボールを前に投げてはいけないところは15人制ラグビーと同じだ。相手の間をすり抜けたり味方へパスを回しながらインゴールにトライすると3得点だ。

ディフェンスはタックルの代わりに相手選手をタッチする。3回タッチで攻守交代となる。コートは狭いけれど、スクラムで試合がストップすることがないので、1分間走りっぱなしだ。ハーフタイムの笛が鳴ると、息を切らしたおじさん選手はコートに倒れ込んでいた。

職場チームで参加していた30代男性は「いつもはフットサルをしているけれど、これはスピード感が速くて息が切れる」と笑顔で話してくれた。

夜練で日本橋ラグビーブーム広がる

この大会を準備してきた中央区ラグビー協会事務局長の小山裕昭さんによると、ラグビーをみんなに楽しんでもらいたいとの思いから始まった活動だという。

小山裕昭さん
「中央区内にはラグビーのできるグラウンドがありません。地元で人口が増えている30代や40代の大人でも参加できるストリートの大会を考えました」

そしてさくら通りで開催できることになると、周辺のカフェや企業などに協力をお願いしに出かけた。そのときよくするのが協賛金の依頼だが、小山さんたちは「チームを作ってください」という仲間づくりから始めていった。
しかし、まだ誰も知らないストリートラグビーだ。そして、ラグビーしませんかと誘われた素人はケガを心配して二の足を踏んでしまう。

そこで毎週水曜日の夜7時から、近隣の中央区立城東小学校で練習会を行ってきた。そこに職場グループなどの参加が増えて、日本橋ローカルなストリートラグビーの盛り上がりは広がっていった。そして87チームもの選手が参加する大会になった。

こうした事前の練習会で参加者たちは顔なじみになっていたから、会場でも笑いや冗談のような応援もあり、まるでフェス会場のようなくつろいだ盛り上がりになっていた。

ストリートを会場にしたのは「パーティしたい人も一緒に楽しめる空間にしたい」という小山さんたちの願いもあった。近くのバーで購入したビールを片手に観戦するのもお勧めだという。

そうしたスタイルで楽しんでいた男性二人は「高校や大学ではラグビー部でした。ストリートはパス回しが早いね」と経験者ならではの解説をしてくれた。

ストリートからワールドカップへ

ストリートラグビー会場のキッズたち

会場ではキッズたちの姿を多く見かけた。ラグビースクールの仲間と参加した小学生の3人は「2勝1敗。高校生に負けた」と悔しそう。ストリートラグビーは「パスが決まったときはスカッとする」ところが楽しいという。会場に来ていた日本代表ロック真壁伸弥らにサインをもらい、「将来は海外でもプレーしたい」と夢を膨らませていた。

引率していた父親は「体格が違う仲間と一緒にプレーできるワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの精神は子どもたちを育ててくれる」とラグビーに期待している。そして「ケガが心配でもタックルのないストリートラグビーならば、子どもたちを参加させやすい」と、この新ラグビーに期待を寄せていた。

観戦していた日本代表WTBの山田章仁は、「ラグビーを多くの人に見てもらいたい。そして、どんな人でも参加できるラグビーの魅力をストリートラグビーならば体感してもらえる」と話していた。

4年後の2019年には日本でラグビーワールドカップが開催される。応援するだけじゃなく、プレーしながらワールドカップを楽しむのもいいし、それにはストリートラグビーがピッタリだ。
ストリートラグビー2

(取材・文:安藤 啓一 写真:國枝 至

ゲストライター

ゲストライター

The BORDERLESS(ザ・ボーダレス)編集部からの依頼で執筆いただいたゲストライターの方です。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう